弘兼憲史氏「団塊世代は出世バネに奮起 格好悪い熱意持て」

NEWSポストセブン / 2012年11月8日 16時0分

 韓国や中国勢の猛追を受け、経済で苦戦を強いられる日本。円高や高齢化だけが原因ではない。働き手のモチベーションは成長期と比べてどうなのか。経済大国ニッポンを築いた団塊世代を描き続けてきた漫画家、弘兼憲史氏が現代のサラリーマンを激励する。

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 私の幼少期には、食べ物がなく、お腹を満たすために蜂の巣を叩き落として蜂の子を食べたり、美味しくもない野草を野原で摘んで囓ったりした。今よりもいい生活をしたいという欲求があり、ハングリーさがあった。

 だが今の40代より下の世代は、生まれた時からモノが世の中に溢れ、何一つ不自由なく暮らしてきた。それが果敢に挑戦しない原因のひとつだと思う。

 結果、若いサラリーマンの間には「この程度働いて、そこそこ幸せであればいいよね」という空気が蔓延している気がしてならない。泥臭さや努力することを格好悪いとする向きもある。

 しかし、すぐ隣に目を向ければ状況は一変する。

 私はマンガを描くために、中国や韓国などアジアの労働市場をよく取材するが、中国人は大変ハングリーだ。大学生の勉学に対する熱意は日本の学生の比ではない。

 また韓国は国内市場が小さいため、最初から世界を相手に商売しようと戦略を立ててきた。韓国人は、国際人にならなければいい仕事に就けないため、留学してスキルを上げようと必死だ。

 業績好調のサムスンを見てもそうだ。新入社員にはTOEIC900点以上を義務づけている。米国ハーバード大学でも、以前は東洋人留学生と言えば日本人だったが、今は韓国人と中国人が多数を占めている。

 サラリーマンが変わらなくても日本企業は大きく変わった。パナソニックの新卒社員の海外採用比率は7割を超えている。優秀な人材を集めたい企業にとって、国籍、民族は関係ない。嫌でもハングリーな人たちと競争しなくてはいけない時代なのだ。

 団塊世代ががむしゃらに働き、出世を競い、時に同僚が素晴らしい仕事をすれば悔しがり、それをバネに奮起したように、今のサラリーマンにも「格好悪い熱意」を持って欲しい。コツコツ努力して、泥臭いこともしてそれが格好悪くてもいいじゃないか。格好つけて落ちぶれていくのなら、ぶざまでいいから前へ進もう。

 もし、「ハングリーになれ」という言葉がしっくりこないならば、こう考えて欲しい。3.11以降、多くの日本人が大地震に備えて水や食糧を備蓄するようになった。同じように万が一、倒産、リストラという“大地震”が襲ってきても大丈夫なようにスキルを“備蓄”するという発想で働くのだ。

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