リトル・ブラジルの50代女性「ケイザイ悪い。ブラジルに帰る」

NEWSポストセブン / 2012年10月31日 16時0分

 外国人比率が日本でいちばん高い、群馬県大泉町。主にブラジル人を人手確保に受け入れ、〈リトル・ブラジル〉と呼ばれるこの町に、異変が起きている。作家の山藤章一郎氏が町を訪れた。

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 北千住から〈東武電車〉で940円。利根川を渡った先の群馬県大泉町。原色の下着や派手なボディコンがウインドーに吊るされ、八百屋のキャベツに〈REPOLHO〉、ニンニクに〈ALHO〉と手書きの値札がつけられている町である。タトゥーショップも目立つ。

 外国人比率が日本でいちばん高い。主にブラジル人を人手確保に受け入れ、〈リトル・ブラジル〉と呼ばれてきた。

 だがいま、町の基幹企業だった三洋電機などの撤退で生活基盤を失くした日系三、四世の多くが帰国を急いでいる。

 タクシーが5台客待ちする駅前から富士重工に向かうメイン通りに、200メートルほどの商店街が続く。3分の1はシャッターを降ろし、「売り店舗」の紙を貼った店が目を惹く。不動産屋のガラス窓に、アパート2DK5万の数字。

 ブラジルに帰る日本みやげが揃うショッピングセンター〈ブラジリアンプラザ〉に入ってみた。がらんとひと気がない。日系や外国人店員が暇をもてあまして突っ立っている。南米向け航空チケット、電化製品、中古パソコン、日本人形、キティちゃん羽子板などがフロアに並ぶ。だが人がいなければ、ただの寒々しい光景である。

 50代、ポルトガル人の容貌をした女主人が両手を広げて困りぬいたようすをみせた。「ニッポンケイザイ悪い。お客、ぜんぜん来ない。住宅ローン払えない。ブラジルに帰る」

 この町でほぼ20年、ブラジル人に日本語を教え、ビザ更新などの手助けをしている〈大泉日伯センター〉高野祥子氏(67)の話。〈伯〉はブラジルのこと。

「日系人社会はいま激変が起きています。リーマンショック以降、解雇が相次ぎ、子どもは月謝が払えない、学校に行けない。領事館も解決の方法がないのです」

 残っているのは出稼ぎではなく、ほとんどが子どもの学校の問題などで帰国が叶わない定住者。この数年さらに、日本の不況、格差の波をかぶって、日系人は途方に暮れているという。

※週刊ポスト2012年11月9日号



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