宮城県・村井知事「水産業復興特区」提唱するも漁業組合反発

NEWSポストセブン / 2012年11月13日 7時0分

 震災復興の道のりは長く険しい。特に津波で深刻なダメージを受けた漁業の再興は難題で、これまでになかった大胆な施策が必要だ。その障害となるのが、「漁業権」という既得権、それに根ざす世界でもまれな規制制度だ。その正体に政策工房社長の原英史氏が迫った。

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 東日本大震災は東北地方の水産業に甚大な被害をもたらした。例えば宮城県のカキは、震災前は例年4000~4500トンの生産量だったが、昨季はわずか320トン。10月から出荷が始まった今季も、多少回復したとはいえ930トン程度の見込み。

 復興への道のりはまだまだ遠い。シーシェパード対策など、被災地以外で復興予算が流用された問題がマスコミ・国会で取り上げられているが、被災地からすればとんでもない話だ。

 そうした中、宮城県の村井嘉浩知事が「水産業復興特区」を提唱・推進している。この構想は、養殖業など沿岸漁業に民間企業を参入させ、民間の技術力や経営力を活かして水産業を復興させようというもの。昨年5月に政府の復興構想会議で知事が提案し、それを受けて国で「東日本大震災復興特別区域法」(復興特区法)を成立させて制度を用意した。

 宮城県庁は年内にも特区申請を目指す方針だが、これに宮城県漁業協同組合が強く反発。県内では特区を巡る混乱が続いている。

 特区騒動の背景にあるのは「漁業法」という法律。特にその中で定められる「漁業権」という制度だ。

 漁業権とは、沿岸部の一定海域で独占的に漁業を営む権利のことで、「共同漁業権」「区画漁業権」(養殖を行なう権利)などの種別がある。漁業法上、漁業権の設定にあたっては都道府県知事の免許を受けなければならない(10条)。

 さらに免許を与える優先順位に定めがあり、例えば、カキ、ワカメ、ノリなどの養殖業の場合(法令上は「特定区画漁業権」と呼ばれる)、以下の順番が法定されている。

■第一順位:漁業協同組合
■第二順位:地元漁民の7割以上を構成員とする会社(漁民会社)または漁業生産組合
■第三順位:一般の個人、法人

 ここで言う第一順位を与えられる「漁協」とは漁業法では〈その組合員のうち地元地区内に住所を有し当該漁業を営む者の属する世帯の数が、地元地区内に住所を有し当該漁業を営む者の属する世帯の数の三分の二以上であるもの〉(14条2項一号)などの条件を満たすものとされている。要は昔から地元に住んでいる漁業者の“公式団体”に優先権があるということだ。

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