圧倒的な振れ幅、ムロツヨシが目指すのは「ふざけた大人」?

NEWSポストセブン / 2020年3月24日 16時0分

ムロツヨシ

 コミカルからシリアスまで、幅広い役柄を演じる俳優・ムロツヨシ。21日放送のNHKドラマではトランスジェンダーの役を演じて反響を呼んだ。振れ幅の広い演技を見せるムロの魅力についてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。

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 先日放送されたNHK『三浦部長、本日付けで女性になります。』には、驚かされた。妻と息子と暮らす食品会社の総務部長の三浦(ムロツヨシ)が、自分がトランスジェンダーだと自覚。ついには女性として出社して仕事をするという物語だ。驚いたのは、女性姿のムロにだんだん違和感がなくなっていったことだった。

 三浦部長の完成形は、つけまつ毛もバッチリ、ベーシックファッションの中年女性。近年、男優が女性姿で主演したドラマとしては、美しさでも注目された志尊淳の『女子的生活』やパンチのきいた外見でドスドスと押してきた古田新太の『俺のスカート、どこいった?』などがあったが、ムロは志尊と古田のちょうど中間的なイメージといえる。

 この10年、ムロツヨシに翻弄されている方は多いと思う。NHK『LIFE!~人生に捧げるコント~』をはじめ、不思議なムードで話題となった『勇者ヨシヒコ』シリーズでは、金髪マッシュルーム頭の魔法使い。「おもしろ男」の印象は強烈。福田雄一と組んだ『新解釈・日本史』では、次々と歴史上の人物に。織田信長、坂本龍馬、松尾芭蕉、伊能忠敬…フランシスコ・ザビエルだってやっちゃいますよね、そりゃ。ザビエル(ムロ)を前にした殿(本田力)が、「その髪型…マジで?」と噴き出せば、ザビエルは「そちらの髪型だって…」とちょんまげについて指摘。もはや日本史も何も吹き飛んでいた。

 大河ドラマにもしっかり出演。『おんな城主 直虎』に出たかと思えば、初回はまるで原始人。商人になって金儲けのアイデアがひらめくとチャリンチャリンと効果音が響き、「銭のニオイがする…」と目がキラリ。

 その一方で、『大恋愛~僕を忘れる君と』では若年性アルツハイマー病を抱えた妻を支える小説家の夫、『病室で念仏を唱えないでください』では、ダークな顔を持ちつつ独自のやり方で自分のやりたい医療を目指すエリート心臓血管外科医に。シリアスな顔もたくさん見せてきた。どんな役もやるのが仕事とはいえ、これほど振れ幅が広い俳優はあまりいない。

 いったいムロツヨシとは何者か。その答えが実は本人から出ていた。先日の『川柳居酒屋なつみ』。フリーになった宇賀なつみが女将を務める居酒屋で常連客のムロとともにゲストとトークをするというこの番組。小栗旬、山田孝之らを迎えてきたが、一周年となるのを機に「ムロツヨシ これより 旅に出てきます」とこの番組を卒業すると宣言。その理由は役者をもうちょっとやらないとと思ったこと、そして「もうちょっと自分を知らないと、ふざけた大人にもなれないですし」…って、え、なってなかったの? あのザビエルはなんだったの!? 

 これがムロの目指すところだったとは。彼の「ふざけた大人」の完成形っていったいどんなものなのか想像もつかない。まだまだムロのことはわからないことだらけだが、ひとつヒントになるとすれば、『徹子の部屋』に出たときの黒柳徹子のムロ評だろう。

「何かわーわーおっしゃってる人」

 さすがだ。もう完成してるじゃん。

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