アメリカ大統領選挙 トランプ氏にコロナ逆風は吹くか

NEWSポストセブン / 2020年4月6日 11時5分

コロナは注目の米大統領選への影響はあるのか(イラスト/井川泰年)

 新型コロナウイルスの脅威は、アメリカ合衆国にも例外なく襲いかかっている。このタイミングでアメリカ大統領選挙が進んでいるため、事前にはトランプ圧勝と言われた選挙戦のゆくえが、不透明になってきた。経営コンサルタントの大前研一氏が、激動のアメリカ大統領選挙について解説する。

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 中国発の新型コロナウイルスの猛威がアメリカを襲っている。感染者数は3月26日に中国を超えて世界最多となり、死者数も急増している。この新型コロナ禍が、アメリカ大統領選挙の行方にも激震を与えている。

 感染拡大するまでは過去と同様の選挙スケジュールで進行していた。「トランプ一強」でブレない共和党に対して、民主党の候補者選びは、序盤で苦戦しながら3月3日のスーパーチューズデーで息を吹き返した中道派のジョー・バイデン前副大統領が、その後の予備選でも左派のバーニー・サンダース上院議員に大勝し、指名獲得がほぼ確実な情勢になった。本稿執筆時点(3月末)でまだサンダース氏は撤退していないが、このままならドナルド・トランプ大統領とバイデン氏の対決になるだろう。

 だが、バイデン氏はトランプ大統領と1対1でやり合ったら、コテンパンに叩きのめされる可能性が高い。すでにトランプ大統領はバイデン氏に「スリーピー・ジョー(眠そうなジョー)」という渾名を付け、マイナスイメージのレッテル貼りをして、ツイッターなどでさんざん小バカにしている。

 この渾名は言い得て妙で、実際、8年間のバラク・オバマ政権で副大統領として何をしたのか、どんな功績があったのか、ほとんどの人は思い出せないと思う。クリントン政権時のアル・ゴア副大統領のような独自色は出せないでいた。大統領候補としてはキャラクターが薄くて面白味がなく、演説も下手くそだ。テレビのインタビューで受け答えに窮して「You know what(あれだよ、あれ)……」を連発するなど、物忘れや言い間違いも多い。

 バイデン氏復活の原動力になったのは黒人票で、たとえばスーパーチューズデーの出口調査では黒人の約6割の支持を得て、サンダース氏を突き放したと報じられている。その理由は、初の黒人大統領のオバマ氏を副大統領として支えた経歴や民主党の黒人有力議員が支持を表明したことだというが、それ以上でもそれ以下でもなく、バイデン氏自身の功績で黒人に支持される理由は見当たらない。

 さらに、トランプ大統領との戦いでは、バイデン氏のウクライナ疑惑が重い足枷になる。副大統領時代、ウクライナのガス会社に高給で息子のハンター・バイデン氏を就職させたり、彼に対する訴追をやめさせたりした、という疑惑である。中国の企業でも同じく不自然な職と報酬を得ていたと報じられている。一方のトランプ大統領もウクライナ疑惑が取り沙汰されたが、こちらは曲がりなりにも上院の弾劾裁判で無罪評決が下って“禊ぎ”が済んでいる。

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