コロナで医療崩壊危機 命に直結の病気なのに受診できぬ事態

NEWSポストセブン / 2020年4月6日 16時5分

受診を断られることも?

 ついに日本でも新型コロナウイルスの感染者・死者が急増し始めた。「緊急事態宣言発令」の可能性も囁かれるなかで、警戒はかつてなく高まっている。しかし医療機関では「コロナ感染」よりも恐ろしい事態が起こり始めている──ベッドや人工呼吸器の不足などで、「後回しにされる患者」が出てくるのだ

 都内在住の男性A氏(55)は、3週間ほど前から片頭痛のような鈍い頭痛と軽いめまいに悩まされていた。

 A氏は定期健診で、動脈硬化の原因であるLDLコレステロール値が高いとの結果が出ていたため、「もしかして脳梗塞かも……」と不安になり、診察・検査をしてもらうために近所にある脳神経外科クリニックを予約した。

 3月末に病院を訪れ、受付の女性に保険証を手渡したA氏は、受付カウンターで1枚の文書を提示された。そこにはこんなチェック項目が並んでいた。

「37度5分の熱が続いている」
「咳や痰が出る」
「倦怠感がある」
「2週間以内に海外への渡航歴がある」
「職場/家族に発熱している者や感染者がいる」

 A氏が振り返る。

「咳が出ていたので正直に申告すると、受付の女性から『申し訳ありませんが、一つでも該当すると診察できません』と言われました。『少し咳が出るだけです』と食い下がっても、『保健センターにご相談ください』の一点張り。泣く泣く受診を諦めました」

 A氏が後日、地元の保健センターを訪ねると、担当者にこう説明されたという。

「新型コロナ陽性が疑わしい患者か、その濃厚接触者に該当しなければ、医療機関は問題なく受診できる。ただし、各クリニックが『わずかでも感染の恐れがあるなら受診しない』と独自の基準を設ける例があります。そのさじ加減は各医療機関の判断に委ねられているのが現状です」

 すでに医療従事者や職員に陽性患者が出て外来を閉鎖したり、陽性患者の通院によって院内感染が広がり、医療現場がパンクするケースが発生し「医療崩壊」の危機が指摘されている。

 また、世界的な需要の急増でマスクやアルコール消毒液が不足し、自主的に休診する医療機関が増えている。さらに最近では、体調に不安を感じて病院に行っても、受診できずに追い返されてしまうケースが増えているのである。

 なかでも懸念されるのは、A氏のように「命の危険に直結する病気」の兆候を訴えても、診察や検査が受けられない事態だ。

「最も心配されるのは脳に関連する疾患の発見が遅れることです」。そう指摘するのは、くどうちあき脳神経外科クリニックの工藤千秋院長(脳神経外科)だ。

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