【法律相談】墓参道の整備費 払うのは寺か檀家か

NEWSポストセブン / 2020年6月28日 7時5分

整備費を払うのは誰?

 今年はコロナウイルス騒動により、お彼岸の墓参りができなかった人も多いはず。騒動が収束した折には、墓参りに訪れた人が気持ち良く故人を悼むことができるようにするのが寺の努めだが、墓参道を整備する場合、費用を受け持つべきのは寺か、それとも檀家か? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 墓参りしたときのこと。寺の住職から「墓の前の道をアスファルトにしたい。水はけもよくなるし、美観的にもよい」といわれ、その費用を出してもらえないかと相談されました。別に出し渋るつもりはないのですが、墓は寺の敷地内にあります。こういう場合、寺が設備費用を払うべきだと思うのですが。

【回答】
 墓地には宗派や信仰の有無を問わない霊園、昔ながらのお寺の檀家が使用する寺院墓地、村落の住民が利用する共同墓地があります。霊園墓地では通常、利用契約で管理費の負担や墓地全体の維持管理の方法について定められています。共同墓地では、利用者全員で構成する団体が管理しています。ご質問は、寺院墓地のようです。

 そこで管理規約がない寺院墓地と仮定して検討します。その場合、墓地利用の由来を考えることが大切です。寺院墓地を檀家が使用できるのは、管理費などの対価を支払うからではありません。なにより寺院の教義を信仰し、お寺を護持する務めがある檀家の立場に基づいているのです。

 墓地の敷地は、お寺の財産ですから、寺院経営上の必要があり、宗教法人の規則に沿って墓参道整備を決定した場合には檀家である以上、お寺の適法な方針に従う前提で墓地を使用しているので、墓参道の改修工事を妨害できませんが、お寺も一方的に檀家に資金拠出を義務付けることはできません。お寺ができるのは寄付の要請にとどまり、支払わないことを理由に、例えば墓地利用の拒否や、その返還請求は認められません。

 ただ、境内工事などお寺の護持に必要な費用は、檀徒会などで檀家各自が応分の負担をするよう決定され、これに従って寄付を集めることが多いようです。檀徒会はお寺の護持が目的の団体ですから、その目的の範囲内であって、内容や決定方法が不公平や不合理ではない決定は会員を拘束します。よって檀徒会にとどまる以上、支払いは事実上強制されます。

 嫌なら辞めるしかありませんが、檀家仲間の付き合いも難しくなり、檀徒会がお寺の護持を取り仕切っている場合には、檀家の義務を果たせなくなり、お寺との関係が難しくなる可能性もあります。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2020年7月3日号

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