日本の核武装 45年前に「不可能」と結論付けた議論の要諦

NEWSポストセブン / 2012年12月2日 16時0分

 日本維新の会の石原慎太郎代表の「核兵器保有発言」が注目を集めている。実は1967年夏、内閣調査室(当時)の外郭団体の主催の研究会で、すでにこの問題が様々な専門家を集めて議論されていた。私(神田)は研究会メンバーで国際政治学者の蝋山道雄氏(元上智大学名誉教授、故人)に、1999年、当時の研究会についてインタビューしている。この問題を考える一助とするために、その要旨を紹介したい。(文=フリーライター・神田憲行)

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 石原慎太郎氏の「核兵器」についての発言は、11月20日に日本外国特派員協会におけるものだった。いわく「日本は核兵器に関するシミュレーションぐらいやったらいい。これも一つの抑止力になる。持つ、持たないは先の話だ」として、さらに「核を持っていないと発言権が圧倒的にない。北朝鮮は核開発しているから、米国もハラハラする」と語った(毎日新聞11月20日)。

 冒頭の研究会は1967年夏、内調の外郭団体「財団法人・民主主義研究会」の主催で行われ、毎月1回の研究会の他に1968年には軽井沢で合宿も行われている。研究会メンバーは、永井陽之助(国際政治学者、故人)、垣花秀武(原子核理工学専門家)、前田寿(軍縮問題ジャーナリスト、故人)、関野英夫(軍事評論家、故人)、そして蝋山氏の5人。研究会参加当時の蝋山氏は国際文化会館調査室長で、ロンドンの「戦略研究所」に留学経験があった。研究会の結果は、「日本の核政策に関する研究(その一)-独立核戦力創設の技術的・組織的・財政的可能性」と「日本の核政策に関する研究(その二)-独立核戦力の戦略的・外向的・政治的諸問題」という2冊の小冊子にまとめられた。

 私の取材に対し、蝋山氏は、

「我々が達した結論は、日本が核武装することは、国際政治的に多大なマイナスであり、安全保障上の効果も著しく減退するというものだった」

 と語った。当時の掲載誌「SAPIO」(2000年1/26・2/9日号)から要約を引用する。

《まず技術的側面では、当時も今も、我が国が核爆弾の潜在的な製造能力を有していることは間違いない。もともと核爆弾そのものは理工系の学生程度の知識で作られるもので、材料のプルトニウムさえ手に入ればできる。当時は再処理工場ができる72年以降は可能と結論したが、現在も技術的に可能だ》

《しかし核爆弾を抑止力を持った「核戦力」とするためには、2つのステップが必要だ。核爆弾の実験と、保有・配備である》

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