池上彰氏が解説 コロナ禍での中国の圧力をどう見るべきか

NEWSポストセブン / 2020年7月11日 7時5分

武漢では全市民にPCR検査を実施(AFP=時事)

 新型コロナウイルスは、公衆衛生上の問題から、いまや国際政治のパワーバランスにも影響を及ぼすようになっている。特に大きな動きが起きているのが、ウイルスを拡散させてしまった中国だ。各国が感染対策に追われている中で、中国は周辺国への圧力を強めている。ジャーナリストの池上彰氏が解説する。

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 多くの国々でコロナウイルス禍は収束していませんが、こうした危機のときに、その国の本質が現れることがあります。近著『池上彰のまんがでわかる現代史 東アジア』では各国の動きについて指摘していますが、ここでは中国について見てみましょう。

 2019年暮れに中国・武漢で発見された新型コロナウイルス感染症は、これに気づいて注意を喚起した医師が警察によって口封じされるなど初動が遅れ、世界に拡大しました。

 中国国内で徹底した都市封鎖を行って収束させると、一転して世界に対して「マスク外交」を繰り広げます。欧州やアフリカに対してマスクや医療用防護服を送り、「中国は感染防止に貢献している」というイメージづくりを進めています。

 ところが、ヨーロッパに送られたマスクや防護服に不良品が多く見つかり、中国への不信感が広がって中国に苦言を呈する政治家が出ると、各国に駐在している中国大使たちは、猛烈な勢いで、これを攻撃しています。

 イタリアでは、「中国に感謝しよう」というメッセージがSNSで拡散し、中国に好意を持つ人が増えたという世論調査の結果が出たのですが、その後、このSNSは中国が仕掛けた世論操作であることが判明しました。

 新型コロナウイルスを世界に拡散させてしまった責任を回避しようとする動きは露骨で、かえって中国に対する反感が高まっているのです。

 世界を驚かせたのは、オーストラリアに対する嫌がらせです。オーストラリア政府の閣僚が2020年4月、新型コロナウイルスがどのように感染を広げたか、独立した調査機関による調査が必要だと発言したところ、中国が反発。5月になって中国はオーストラリア産の牛肉の一部を輸入停止にしました。理由は「検査の条件に違反が見つかった」という曖昧なものでしたが、これによりオーストラリア産の牛肉の約4割が中国に輸出できなくなりました。オーストラリアにとって、中国は牛肉輸出の最大の相手国。オーストラリア国内に動揺が広がりました。

 さらにオーストラリア産の大麦に80%もの関税をかけると発表しました。中国は、オーストラリアの調査要求とは無関係だと説明していますが、誰も信じていません。「新型コロナウイルスに関して調査を求めると、こんな打撃を受けるのだ」ということを世界に知らしめたのです。こうなると、ほかの国もうっかり「調査」を言い出せないというわけです。

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