「日本と唐様で書く三代目」豊臣統一と安倍晋三が日本を滅ぼす

NEWSポストセブン / 2020年7月11日 7時5分

 このトヨタ自動車の、これまで表沙汰になったことがない内幕を小説に仮託して描いたのではないかと世間を騒がせているのが拙著『トヨトミの野望』とその続編の『トヨトミの逆襲』である。トヨタはもちろん、これまで取材してきたいくつかの日本企業をモデルにして小説で描こうとしたテーマは、超グローバル企業における「サラリーマンと創業家のありかた」であった。小説の主人公は、トヨトミ自動車創業家の三代目で、同社社長の豊臣統一という人物である。

 この豊臣統一の人柄、組織の動かし方、マスコミ対策が安倍晋三とそっくりなのだ。執筆した本人がこう言うのもおかしな話だが、コロナ政策、検事総長人事をめぐる不祥事や河井夫妻逮捕など一連のごたごたを見ていたらハタと気がつき思わず笑ってしまった。

 そもそも経歴が似ている。安倍晋三の祖父、岸信介が偉大な政治家であり、安倍は三代目の政治家である。統一も祖父が自動車事業を起こした初代社長で、創業家の三代目だ。

 統一も、安倍晋三と同じように、情報統制と側近の重用で社内外を固め、自分に反論する者は、役員だろうが課長だろうが徹底して排除してきた。この結果、社内はイエスマンだらけとなった。えてしてこういう組織は、危機の際には、ぽきっと折れやすくなるものだが、トヨトミを取り巻く競合企業がそれ以上にひどい状況にあるため、危機が顕在化しない。野党の力が弱い安倍政権と同じ状況にあるのだ。

 トヨトミ自動車は、創業以来、苦難の連続だった。初代の豊臣勝一郎は戦後の混乱期に倒産の危機に追い込まれるが、会社を守り抜き、先代の苦労を知る息子の新太郎は、手堅く経営を盤石にする。

 しかし、やがて大企業病に陥り創業以来の危機を迎える。会長に退いた新太郎が、起死回生のため起用したのが、剛腕のサラリーマン社長・武田剛平。武田がグローバル化を進めて、会社を立て直し、トヨトミ自動車は「世界のトヨトミ」と言われるようになった。

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 その武田が、次に着手しようとしたのが、創業家が暗黙のうちに経営トップを世襲するという前近代性の改革だった。持ち株会社方式を導入し、創業家を持ち株会社の経営に専念させ、トヨトミ自動車本体には実力主義で経営者を起用する新たな組織づくりを模索した。言ってしまえば創業家が「君臨すれども統治せず」の経営体制を構築しようとしたわけだが、このクーデターは事前に発覚、豊臣家の逆鱗に触れ、武田は社長の座を追われる。

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