近づく安倍政治の終わり、ツイッターデモに見る国民の正しさ

NEWSポストセブン / 2020年7月10日 16時5分

安倍政権の終わりが近づいてきた(写真/時事通信社)

 安倍政治の終わりと新しい時代が近づいている。多くの国民がそれを強く感じるきっかけになったのは、新型コロナの自粛下の5月に起きた「ツイッターデモ」だったのではないだろうか。

〈#検察庁法改正案に抗議します〉

 1人の女性会社員が5月8日に発信したとされるツイートを小泉今日子、大久保佳代子、きゃりーぱみゅぱみゅをはじめ、かつてないほど多くの俳優やミュージシャン、芸能人がリツイートしたことで国民の間に一気に拡散し、短期間に900万リツイートを超える社会現象となった。

 俳優の井浦新は「もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい」、演出家の宮本亞門が「このコロナ禍の混乱の中、集中すべきは人の命。どうみても民主主義とはかけ離れた法案を強引に決めることは、日本にとって悲劇です」と次々に声を上げ、最終的に法案を廃案に追い込んだ。

 検察庁法改正案という一般の国民にはなじみが薄く、庶民の生活には一見関係がなさそうに思える法改正に、日本中で批判が高まったのは異例といえる。この現象を起こしたのは、間違いなくコロナによる社会の変化、国民の意識の変化だ。

 折しも、ツイッターデモが起きたのは、安倍首相が国民に「1か月間のがまん」を要請した、5月6日までの緊急事態宣言が延長され、長引く自粛で多くの人々が職を失ったり、休業や自宅待機に追い込まれ、生活に不安を募らせていた時期だ。特に音楽、芸能、興行といったエンターテインメント業界はイベント自粛の影響が深刻だった。芸能人も市井の人々も同じ不安を抱え、これまで以上に政府がどんな政策を打ち出し、どう対応するかに関心を寄せ、政治感覚を研ぎ澄ませていた。

 国民の政治への関心が高まると、政治家のごまかしは通用しない。圧力にも負けなくなる。

 これまで安倍政権の下では、政権に批判的な言動をすると安倍首相の熱狂的ともいえる支持者などからネットで激しくバッシングを受け、ものが言えなくなることがよくあった。今回の芸能人らの政治的発言に対しても、「ファンを裏切るのか」「法案をどこまで理解して反対しているのか」といった批判があがったが、流れを止めることはできなかった。

 当然だろう。ちょっと考えれば、的はずれな批判だとわかるからだ。第一、「法案を理解していない」という点では弁護士資格を持つ森雅子法務大臣も同じだった。森法相は国会で法案について質問されると何度も答弁に困って役人に助けを求め、発言の修正を重ねた。外出自粛やテレワークで自宅にいる機会が多かった人は、テレビの国会中継でその様子を見た人も多いだろう。

 大臣もわからない法案を全部理解してから反対しろなどと言われたら、国民は声を上げられなくなってしまう。おかしな批判だとすぐ見破った。

 そもそもこの法案の政治的意図は、首相寄りとされる黒川弘務・東京高検検事長(当時)を特例で定年延長して留任させようというもので、そうした不透明な人事をごまかすためにコロナ自粛のドサクサでの法改正を狙った。国民が声を上げたのは法律の中身より、その政治手法に胡散臭さを感じ取ったからだ。国民の嗅覚は正確だった。

 このツイッターデモをきっかけに、新聞各紙の5月の世論調査では安倍内閣の支持率は軒並み大きく下がり、朝日新聞は29%、毎日新聞は27%をつけた。政界では支持率20%を割れば「退陣水準」といわれる。その水準に近づいたのである。

※女性セブン2020年7月23日号

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