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元SB小久保裕紀 苦しい時期でも『エヴァへの道』が支えに

NEWSポストセブン / 2012年12月4日 16時1分

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球界屈指の読書家として知られた小久保裕紀氏

 福岡ソフトバンクホークスの小久保裕紀(41)が、今季限りで19年間の選手生活にピリオドを打った。

 実は彼は、球界屈指の読書家である。現役時代には1000冊以上を読破。遠征先への移動の車中、試合前のロッカールーム……少しでも時間の余裕があれば本を開いていたという。

「ナイターの場合、試合前の16時から20分間を、読書の時間に当てていたこともありましたね。知らないことを本から学びたいという欲求が強かった。もし読書をしていなければ、19年も現役を続けて、ここまでの成績は残せなかったと思います」

 通算2031安打、413本塁打という輝かしい選手生活を送ったが、その一方で、度重なる怪我を含め、幾度も窮地に立たされている。困難に立ち向かった時、小久保はどのような書籍を手に取り、その中のどんな言葉に解決のヒントを得ていたのだろうか。

 まず自宅の本棚から選んだ本は、『エヴァへの道』(船井幸雄・著)。彼が読書好きになるきっかけとなった1冊だ。

 入団1年目の1994年からレギュラーに定着した小久保は、2年目には本塁打王のタイトルを獲得。プロ野球選手として順風満帆のスタートを切った。

 しかし、本人曰く「天狗になっていた」というその年のオフに、慢心から、ゴルフや飲み会三昧の怠惰な生活を送ってしまう。そのツケはすぐに3年目1996年の成績に表れ、打率は2割5分を切るほどに低迷した。

「このままじゃダメだと本当に悩みました。その時、偶然にも、1週間のうちに別々の知人から『エヴァへの道』を薦められたんです。手元にある2冊の同じ本を見た時、何かのお告げだと思って読み始めました」

 ちょうど、アマチュア時代から師事していた打撃技術のコーチと袂を分かった時期とも重なり、何かにすがりたい気持ちが強かったという。

「それまではたまに推理小説を手にするくらいだったので、初めは何が書いてあるのかよく理解できませんでした。でも何か自信を持ちたかったから、無理矢理にでも最後まで読み切りました。

 心に残っている言葉は、『必要・必然・ベスト』です。どんな嫌な出来事も、前向きに考えることによって、その出来事が自分に必要であり、必然であり、起きて良かったと思えるようになる。野球人生の中で、この言葉には何度も助けられました」

 1997年オフ、確定申告を依頼していた経営コンサルタントを介して脱税をしていた事実が発覚し、小久保を含めた数人のプロ野球選手が刑事告訴された。その処分のため、翌1998年は開幕から8週間出場停止。右肩の手術も経験し、わずか17試合の出場にとどまった。プロ野球人生で最悪の年だった。

「当然罪に関しては罰を受けなければならない。ただ自分の心の中では、この事件も自分にとって『必要・必然・ベスト』なんだと考えるように努力しました。周囲から『小久保にもそんなことがあったんだね』と思ってもらえるくらいまで頑張ろうと思えたのは、この本のおかげです。

 それから、2003年に選手生命を左右するような膝の怪我をしてしまい、ジャイアンツに無償トレードになった時も、この本が活きた。世間では大きく騒がれたけれど、自分は前向きに捉えられましたからね」

取材・文■田中周治 撮影■藤岡雅樹

※週刊ポスト2012年12月14日号



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