競馬新聞予想の「◎」 本命馬はどれだけ勝つのか

NEWSポストセブン / 2020年8月30日 7時5分

グリグリの二重丸は買うべきか

 誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、競馬新聞の予想にある本命「◎」はどれだけ勝つのかを考察したことについてお届けする。

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 慣れは恐ろしい。ある土曜日の札幌2R、人気薄のワイドが的中した。だが「購入限度額」が増えない。投票履歴を見れば、的中を示す黄色い☆がない。買ったのは新潟2Rだった! ネット投票を始めた当初は慎重にキーを押していた。ガチっと気持ちを締めなきゃと猛省したのだった。

 さて、◎である。本命だ。地図記号では市役所。役所なみのカタイ馬券ってわけでもあるまいが、妙な一致が面白い。ちなみに○は町役場だ。

 欧米人は重要なポイントにマルではなく×を付けるという。われわれが馬番にバッテンをつけたら「切り」。日本人はマル好きのペケ嫌いだ。ちなみに海外の予想紙には印がないらしい。

 ある日の2歳未勝利戦。◎の連なりに瞠目した。ある専門誌では14人中12人が◎。2人が○。単勝オッズ1.4倍。ここまで◎が揃うと、このオッズでも高めに見えてくる。

 それでも不思議と全員一致にはならない。上記の2人が◎を打ったら全社的に◎だ。もし敗れたら責任問題になる(のかな)。そんな疑問を専門誌の知人にぶつけたらハナで笑われた。

「トラックマンは唯我独尊のメンタルも濃く、強い馬だと逆転の目を探したくなる」。

 ちなみに彼らはデスク(紙面責任者)に「◎はこの馬でいく」などの事前報告はしない。

 その決断はいかにして? 出走馬を見渡して、「このメンバーならこの馬」という場合もあるだろうし、「この馬、絶好調!」とピンポイント予想もありそう。穴馬ばかりに目が行く人もいる。全出走馬の取材は叶わぬだろうから、足を運んだ陣営の馬がひいき目になることも。人それぞれである。

 その◎鈴なりの未勝利戦、2着に8馬身差で圧勝。しかもレコード勝ちである。全員一致レベルの強さだった。

 同じ日の特別戦。8頭立ての芝2000メートル。14人中10人が◎、4人は○という馬がいた。単勝オッズ1.9倍。鞍上はリーディングをひた走るルメール。少頭数でこの距離。前走を見てもこれは◎◎だ(私の両目が◎)。馬単で大枚勝負。

 ところが、直線で前に出た2番人気馬に少しも差を詰め切れずに2着に敗れた。私の両目は××となった。勝馬に◎を打ったのは3名いた。自分で決断したのだから文句は言うまい。

 瞠目とまではいかないものの、「おっ?」と思わせる◎もある。たまに、他の多くが無印なのに一人だけ◎を打つ場合が。いわゆる「ポツン二重丸」である。

 こっちのほうが、穴党には多数一致よりも気になるのだった。

●すどう・やすたか 1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。

※週刊ポスト2020年9月4日号

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