教員を助けるスクール・サポート・スタッフ、報酬低すぎ問題

NEWSポストセブン / 2020年9月9日 7時5分

学校はオンライン授業など多くの対策を迫られ、教員の仕事も増えた(時事通信フォト)

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う長期休校が明けたあとの学校は、休み中の学習の遅れを取り戻すために超過密スケジュールとなり、教員の多忙さも深刻になっている。そうしたなかで教員を支援するとして増員しようとしているのが、「スクール・サポート・スタッフ(SSS)」である。

 長い休校で在宅学習ができた子とできなかった子の学力格差は広がっており、それを同じ教室で教えなければならない教員の負担は大きくなっている。それだけでなく、「新型コロナ感染予防のために、『くっつくな』とか『マスクしろ』と怒ってばかりだし、検温に消毒とそれまでになかった仕事も増えてますます時間は足りないし、肉体的にも精神的にも疲れ果てています」(公立小学校教員)という状態にある。

 そんな多忙な教員を支援するのがSSSの役割だ。教員に代わって授業の資料作成やコピー作成、PTAアンケートの配布や回収などの雑務をこなす、いわば“学校の便利屋さん”だ。多忙になる理由として「雑務の多さ」をあげる教員は多い。それだけに、SSSは必要とされる存在ではある。

 SSSは、教員の多忙化解消のために文科省が2018年度予算に盛り込んだことで実現した。ただし、それによって確保された人数は3600人にすぎなかった。2020年度当初予算で4600人に増やされたものの、全国に約2万ある公立小中学校の全部に配置することはできない状況だった。

 大きく変わったのは、新型コロナがきっかけだった。対策のための第2次補正予算で、2万600人を増員するための予算として38億円が計上されたのだ。7月30日に全国連合小学校長会や全日本中学校長会、全国高等学校長協会の会長らと面談した萩生田光一文科相は、「スクール・サポート・スタッフなどの人的支援のための予算措置をしたので、ぜひ校長先生がたから自治体にも声を上げていただき、活用いただきたい」と、増員に胸を張ってみせた。

 しかし、これが実現しても1校に1人しか配置できない。補正予算案で文科省はSSSの仕事内容を例示しているが、「子どもの健康観察の取りまとめ」「分散登校などの登校支援」「教室内の喚起や消毒」などが挙げられている。これに、先述した本来のSSSとしての仕事も加わる。それを1人でこなさなくてはならないわけとなると、負担は大きい。1校1人の配置では、効果的に教員のサポートをすることは難しいだろう。

 にもかかわらず、SSSの報酬は高くない。例えば東京都江東区の募集要項を見てみると、報酬は時給1050円となっている。東京都の最低賃金が1013円なので、それよりほんの少し高い設定でしかない。これは全国的に同じような状況であり、パート・アルバイトほどの報酬でしかないのだ。

 第2次補正予算枠での第1回の申請は締め切られたが、2万600人分の予算枠があるにもかかわらず、申請があったのは1万8346人分でしかなかった。続いて第2回の申請も始まってはいるが、申請が殺到しているわけでもなさそうだ。負担が大きいわりには報酬が低すぎるからではないか。

 そこは文科省としても問題意識をもっている。「報酬について指摘があることは承知しています。9月末が締め切りの概算要求では、なんとかできないか考えていきたい」と、文科省初等中等教育局財務課の担当者は語る。

 萩生田文科相が胸を張るにふさわしい実効をともなう制度にするには、報酬を引き上げて優秀な人材を集め、さらに1校あたりへの配置人数も増やしていく必要がありそうだ。

◆取材・文/前屋毅(フリージャーナリスト)

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