優勝間近の原巨人 「独走」が日本一への障害となる可能性

NEWSポストセブン / 2020年9月28日 16時5分

独走状態がなぜ日本一へのハードルを高くするのか(時事通信フォト)

 9月15日、巨人が優勝マジック「38」を点灯させた。開幕から3か月足らず、72試合目でのマジック点灯は2003年阪神の76試合目を上回るセ・リーグ最短記録。辛口批評の江本孟紀氏もこう評する。

「菅野智之がエースとして十分すぎる働きをしていることに尽きます。投げれば勝つので、ほかのローテ投手はそこそこやれればいい。若手は競争が激しいので、起用されれば期待に応えようと張り切るし、松原聖弥や吉川尚輝、中島宏之といった脇役と坂本勇人、岡本和真、丸佳浩の主役がうまく噛み合っている」

 その後も好調を維持し、9月22日には79試合目で両リーグ50勝一番乗り。80試合未満で50勝したチームのV確率は83%で、さらに今季は試合数が少ないのだから、リーグ優勝はほぼ原監督の手中にある。今季のセはCSがないので“下克上”を喰わされる心配もない。

 ここまでの独走態勢に入ると、原辰徳監督の視線は8年ぶりの日本一に向いていても不思議ではない。だが、興味深いデータもある。スポーツジャーナリスト・広尾晃氏が語る。

「過去、2位に10ゲーム以上の差をつけて独走優勝したのは、両リーグで32チーム。そのうち独走チーム同士が当たった10例を除く22回の日本シリーズの結果を見ると、独走したチームが日本一になったのは10回と半分以下。対戦成績も56勝69敗(1分け)で負け越し。独走が、日本一への障害となる可能性が窺えます」

 マジック点灯最速記録を持つ1965年の南海は2位に12ゲーム差をつけてパを制したが、日本シリーズで巨人に1勝4敗と敗れ、日本一を逃した。当時の南海は「パでは独走するが、日本シリーズはからきし」が定番で、巨人V9時代には3度も日本一を献上している。エースとして辛酸をなめたのが江本氏だ。

「早い時期にリーグ優勝を決めると、チームが目標を失ってしまい、テンションが下がる傾向がある。当時は、リーグ優勝したら派手に騒いだこともあります。日本シリーズまでに実戦感覚が鈍り、シーズン中のレベルに戻すのは容易ではなかった」

 同様の苦い経験は巨人にもある。

 1990年、藤田元司監督率いる巨人は2位に22ゲーム差をつける歴史的圧勝でリーグ3連覇を果たした。優勝決定は9月8日で、日本シリーズ開幕まで42日もの間隔があった。いざ戦いの幕が上がると、シーズンの勢いは見る影もなく、西武に4タテを喫したのだった。投手コーチだった中村稔氏はこう振り返る。

「優勝後、キャンプをやったんですが、気合の入らないこと。パの試合を観戦したりしましたが、どのチームが来るか決まっていないと、集中できない。優勝しているのだから、選手に飲みに行くなとも言えなかったし。調整は難しかったですね」

※週刊ポスト2020年10月9日号

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