FBIが中国スパイの啓発動画作成 CIAの暗部を描く内容も

NEWSポストセブン / 2020年10月24日 7時5分

アメリカの中国に対する警戒が強まる

 アメリカに対する中国によるスパイ活動が急増しているといわれる昨今。アメリカ連邦捜査局(FBI)と国家防諜安全保障センター(NCSC)は9月下旬、中国によるスパイ活動や米国の政府関係者をスパイに仕立て上げる事例などを具体的に描写した啓発動画を作成し、関係部署に配布していることが明らかになった。米政府機関が動画で、米国内での中国政府関係者による諜報活動を暴露するのは極めて異例だ。

 FBIのクリストファー・レイ長官が最近の演説のなかで「中国によるスパイ活動や米国からの技術盗用が横行し、いまや10時間ごとに中国のスパイ活動が報告されている」と注意喚起を行うなど、米政府は中国による国家ぐるみのスパイ活動阻止に向けて本腰を入れて取り組む姿勢を見せている。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。

 動画のストーリーは、中国系商社勤務のビジネスマンと称する中国人男性が元米海軍将校と接触し、「海底探査を支援する無人海底探査機」に関する報告書の作成を依頼するところから始まる。元将校は海軍時代の同僚だった現役の海軍将校と連絡をとり、海底探査に関する米海軍の機密書類などを入手、中国人ビジネスマンに渡し、数万ドルの謝礼を受け取る。

 高額な謝礼に味を占めた元将校はその後も、海軍の機密書類などをビジネスマンに渡し続ける。しかし、あまりの頻度に不信感を抱いた元同僚が上司に報告したことで、元将校がスパイ活動をしていることが分かり逮捕され、裁判で懲役20年の実刑判決を受ける。

 実はこのストーリー、米中央情報局(CIA)の元職員ケビン・マロリーの逮捕に至るまでの実話をもとに制作されている。マロリーは2017年、上海へ旅行した際に中国の諜報員に米国の国防上の機密情報を売り渡し容疑で逮捕されている。動画には、マロリーの逮捕時の実写シーンも含まれている。

 米国の代表的な諜報機関であるCIAの暗部を明らかにするような動画が作成され、一般向けに公開されるのは極めて異例であり、米政府がいかに中国によるスパイ活動を危険視し警戒しているかが分かる。

 米国防総省は9月1日に発表した「中国共産党の軍事力に関する2020年報告書」のなかで、中国は米国への投資や合弁事業、学術交流などで、留学生や研究者をスパイに仕立てて、技術や重要な論文などを盗ませているほか、国家主導の産業スパイ活動などを通じて米国の軍事技術を窃取していると批判している。

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