競馬の「エージェント」、馬券検討の情報として有効なのか?

NEWSポストセブン / 2020年11月28日 7時5分

エージェント(騎乗依頼仲介者)を馬券購入にどう活用するか?

 誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家で、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、エージェント(騎乗依頼仲介者)は馬券検討の情報として有効か、についてお届けする。

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 エージェント(以下age)。代理人である。競馬界での正式名称は「騎乗依頼仲介者」。陣営(馬主さん、厩舎、生産牧場)はあるレースに出る馬にA騎手を乗せたい。そこでAと契約しているageに頼む。ageはトレセンに出入りする競馬界に精通するトラックマンがほとんど。現役もいれば「元〇〇紙」という御仁もいる。

 かつては騎手と陣営が直でやりとりしていた。うまくいくときはいいけどダメな場合もある。断る(断られる)というのはツラいもので、人間関係にヒビが入るのである。そこでageが登場、台頭する。今では騎手とセットになっている感もある。もちろんageに頼らないジョッキーもいる(2020年11月現在、騎手139人中90人がage契約)。

 ちなみにageは「競馬関係者」なので馬券を買うことができないという(ホントか?)。さまざまな問題もあるようだが、ひとまず横に置いておく。こちらの興味は「馬券検討の情報として使えるか」に尽きる。ageの分析が予想のファクターになるはずと思えるのだ。

 1人のageが契約できる騎手は4人(減量騎手1人含)。JRAホームページに載っている。騎手は勝てる馬に乗りたい。ageは仲介馬が勝てばインセンティブが得られるという。両者の利益は一致し、腕利きのageの元に腕のいい騎手が集う。

 JRAの表を見るとひときわ目につく集団がある。Cルメール、武豊、浜中、泉谷の豊沢信夫氏のグループ。そして福永、岩田親子、小崎を擁する小原靖博氏。さらには松山、和田竜、松若の櫻井眞人氏。まだまだある。同グループの騎手は、基本的には同じレースに乗らない。1着を狙うのだから当然だ。それでも顔が重なることもある。このあたりに、なにかがありはしないか。

 また、同一グループ内での乗り替わり。そして関西騎手が関東へ遠征する場合など。どういう結果になったのか、データを取ってみた。身内の記者が関わっているため、競馬メディアでは決してやらない作業のはずだ。出走表にage名を書き加えてみると、何かが見えてきそうである。特に現役トラックマンの紙面の印。自分で仲介しておきながら「△」ってどうよ。胸を張って仲介したものの、このメンバーの力関係を冷徹にみると△ってことだろうか。そして結果は?

 さて11月。阪神の「みやこS」に好きな馬が出た。鞍上は浜中。馬柱には武豊の名も。武豊騎乗の馬は単勝2番人気。浜中は7番人気。迷わず浜中の馬を軸に据えた。結果は浜中5着、武豊10着。直線の浜中の手綱には瞠目した。前の3頭に離されたところから渾身の追いっぷり。馬券はスカでも、気持ちはスカっと秋晴れなのだった。

【プロフィール】
須藤靖貴(すどう・やすたか)/1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。

※週刊ポスト2020年12月11日号

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