中国が新型ロケット「長征8号」打ち上げで米中宇宙覇権競争激化も

NEWSポストセブン / 2020年12月30日 7時5分

中国は着実に“宇宙での存在感”を高めている

 中国は2020年12月下旬、宇宙ビジネスを主な目的として開発した新型ロケット「長征8号」の打ち上げに初めて成功したことを受けて、今後1年間で少なくとも20基の長征8号を打ち上げる予定であることが明らかにした。習近平指導部は2015年に発表したハイテク産業育成策「中国製造2025」で宇宙開発を重点領域に位置づけており、この長征8号打ち上げ計画は技術力だけでなくコスト競争力を高める狙いもある。

 中国は11月に無人月面探査機を打ち上げ、月の土壌サンプルを持ち帰ることに成功。これは米国、旧ソ連に続いて44年ぶりのことだ。また、7月にはこれまで米国しか成功していない火星探査機も打ち上げており、2021年7月に中国共産党が結党100周年を迎えるのに合わせて、火星を探査する計画となっている。米国に対抗して『宇宙大国』を目指している中国に対し、米政府は強い警戒感を示している。

 中国国営新華社電によると、長征8号は12月22日、海南省の文昌宇宙発射場から打ち上げられ、衛星5基を予定通りの軌道に投入した。長征8号ロケットは全長50.3メートル、離陸重量は356トンで、中国の国有大手で宇宙開発を手掛ける中国航天科技集団が製造しており、ロケットの一部を再利用するなどでコスト面も重視したとされる。

 長征8号は主に国際的な競争力を重視した商業衛星の打ち上げを担うロケットであり、中国政府の最新科学技術計画を集めた「中国ハイエンド設備革新プロジェクト実施ガイド(2016~20年)」のなかでも最重要プロジェクトと位置付けられている。

 このほかにも、中国は2021年6月、全世界での中国版GPS「北斗」の運用を開始しているが、これは軍事的にも大きな意味を持っている。

 また、中国は昨年暮れには史上初めて、月の裏側に探査機を着陸させたが、月の裏側は地球から直接信号が届かないため極めて難しいミッションであり、中国は月の探査でアメリカを一歩リードした形だ。さらに、2022年には独自の宇宙ステーションの完成も目指している。

 このように、着実に宇宙での存在感を高めている中国に対して、米政府は宇宙での覇権を奪われかねないと危機感を強めている。米トランプ政権は2019年5月、アメリカの宇宙飛行士を月と火星に送り込む表明。トランプ大統領は「アメリカが宇宙を支配し続けなければならない」として「宇宙軍」を創設すると発表している。2021年にスタートするバイデン新政権は現段階でトランプ政権の対中政策について変更はないとしており、宇宙開発などでも、トランプ政権の政策を引き継ぐとみられるが、米中両国は今後、宇宙を舞台にして対抗していくことも予想される。

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