「アップルカー」生産委託報道でざわつく自動車業界 日系メーカーの危機感と対抗策
NEWSポストセブン / 2021年2月23日 7時5分
アップルは自社の戦略については徹底的に秘匿主義を貫いく企業だが、次世代自動車ビジネス計画は複数メディアが「プロジェクト・タイタン」という名称を報じており、その名での認知が広がっている。
そのコアテクノロジーとして有力視されているのは、自動運転やクルマのインターネット接続を制御する次世代ソフトウェアだ。
アップルにとって理想的なのは、自動車メーカーがアップルの規格通りにクルマを作り、どのクルマに乗ってもアップルのスマホとデータリンクさせるだけで自分好みの自動運転ドライブができるという状況を作り出すことだろう。
それができればユーザーにとっては理想的なシステムだが、自動車メーカーはさすがにそれを易々と受け入れはしないだろう。
まず、自動運転という未来の収益基盤の大半をアップルに握られることになりかねない。また、伝統的自動車メーカーには安全という鉄壁の信念も存在する。スマホとのデータリンクに何らかのハッキングが入ったり、スマホそのものがエラー、フリーズを起こしたりといったリスクの削減は、今後も自動車産業の求める水準に遠く及ばない状況が続くものと考えられる。
「ならば、次に考えるのは『どこかの自動車メーカーを手なずけて、アップルカーを作らせよう』ですよね。
報道ベースでしか情報が入っていないので真偽のほどは分かりませんが、もし今の時点でアップルが本気で自動車メーカーにアップルカーの製造を打診しているとしたら、アップルのストラテジーは一歩前進したとみることができると思います。つまり、来るべき自動運転の時代に備えて、BEVと不完全な自動運転の組み合わせという段階でアップルブランドを自動車にも広げておこうというわけです」(別の日系メーカー関係者)
「ブランド力では戦う前から勝負がついている」
だが、今のところ冒頭の現代自動車をはじめ、アップルが打診したと名が挙がったメーカーで提携に前向きという話は出てきていない。
「当然でしょう。アップルなんかに協力したら、遠くない未来にブランドそのものが呑み込まれてしまう可能性は高い。そのくらいアップルのパワーはすごい。考えてみてくださいよ。先進性、機能、信頼性が一定水準をクリアしていさえすれば、アップルのりんごマークのクルマを喜ぶユーザーは世界で数多く出てくるでしょう。
それに対してアイフォンにりんごマークでなく自動車メーカーのマークがついていたとしたらどうですか? フェラーリみたいなプレステージブランドは別でしょうが、大衆ブランドや中途半端なプレミアムブランドだったらユーザーは見向きもしない。ブランドフォースという観点では、戦う前から勝負がついている。
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