自民党の圧勝 小選挙区制の特質と小党分裂の比例代表が理由

NEWSポストセブン / 2013年1月10日 7時0分

 いよいよ第二次安倍政権が本格的に動き出す。圧倒的多数の議席を得た自民党が今度こそ安定した政権を作れるか、まずは国会運営を見守りたい。デフレ不況に喘ぐ経済の復興、そして領土問題や国際協定に難題が山積する外交の舵取りが急務であり、安倍晋三・首相が力強いリーダーシップを発揮し、国土と国民、そして国益を守る政治を実現するよう期待したい。

 さて、安倍政権への期待や評価とは全く別の問題として考えておきたいことがある。先の総選挙で自民党が294議席、選挙協力した公明党と合わせて325議席を獲得して衆議院の3分の2(320議席)を超える巨大勢力を得たことが、本当に有権者の民意だったかどうかである。

 すでに新聞なども分析記事や解説で指摘していたが、自民党の比例得票率は惨敗した2009年総選挙とほぼ同じ27.6%にすぎず、得票数は1662万票と、前回より200万票以上減らしている。つまり、国民の支持が自民党に回帰したわけではなかったことは明白なのだ。

  ではなぜ圧勝したか。理由はふたつある。第一に小選挙区制の特質である。今回、いわゆる第三極が維新、みんな、未来に分裂して選挙戦を戦ったため、多くの選挙区で比較第1位は自民候補になった。

  例えば東京では、25の選挙区のうち21で自民が勝ち、残りは公明1、民主2、みんな1だった。ところが、各区で第三極3党(第三極系無所属含む)の得票数を合計すると、自民が勝った選挙区のうち7つでトップになる。仮に統一候補で戦うか合同して1つの党になっていれば、東京の小選挙区は自民14、公明1、第三極8、民主2だったかもしれない。これなら「第二極」と言える。

  小選挙区で死に票が多く、小党に不利であることを補正する意味で比例180議席があるわけだが、実はこれが自民圧勝を招いた第二の理由である。細かい制度の説明は避けるが、ブロックごとにドント方式で議席を配分する今の方法だと、結局は大政党が得票率以上の議席を得る。自民は57議席を得たが、これは全議席の31.7%に当たる。得票率は前述の通り27.6%である。ここでも第三極は得票率が議席に結び付いていないのだ。先の3党の合計比例議席は61(33.9%)だが、合計得票率は34.8%あり、これは自民党を大きく上回る。

  要するに、今の選挙制度は今回のような小党分裂、多党競合の政治状況には不向きで、頭ひとつリードした党があると一人勝ちになる。日本には1億3000万人が住み、1億人強の有権者がいるが、そのうちの1662万人が支持したにすぎない自民党が、衆院での憲法改正発議や参院否決法案の再議決までできる巨大権限を握ったことには違和感を抱かざるを得ない。自民党だから批判しているのではない。

  4年前には同じ現象で民主党が巨大与党を形成し、その結果がどうであったかは国民の知る通りである。今の制度では、何か国民の大きなムーブメントに乗ることがあれば、共産党政権さえ誕生しかねない危うさがあるのだ。

 ※SAPIO2013年2月号



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