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60代女性、自宅介護の本音「コロナ禍でなかったら病院にお預けしていた」

NEWSポストセブン / 2021年8月23日 19時5分

オバ記者がコロナ禍で自宅介護を始めるにあたって思ったこと(写真はイメージ/Getty Images)

 平時でも苦労が多い自宅介護。コロナ禍での実情とは、いかなるものなのか。女性セブンの名物アラ還記者“オバ記者”こと野原広子さん“コロナ禍の自宅介護”の現実を明かす。

 * * *
 いろいろな意味で今回の東京五輪は、生涯忘れられないものになったと思う。後々、ひとつの情景を何度も何度も思い浮かべることになると私は確信している。

 それは、コロナ禍で感染者数が急増する中で、大会を開催する意味があったのかというもっともな議論ではなく、もっと個人的なことだ。

 寝たきりで数日前まで意識がハッキリしなかった93才の母親が、座敷に設置したベッドから男子バレーボールの試合を見ていたのよ。

 元気だった頃、ルールがわかるとは思えないながらもバレーボール好きで、「それっ、がんばれ! あ~あ~、ダメだな~。それっ!」と大声を出していたけれど、そのときと同じ目をして、テレビ画面を凝視していたの。

 その姿に胸がいっぱいになった──と言いたいところだけど、実際は現実味がなくて、思わず、「母ちゃん、東京オリンピックだど。わがっか?」と声をかけたら、かすかにうなずいたんだわ。

 このことは、私にとって日本がメダルをいくつ取ったかということよりずっと喜ばしいことで、テレビが母親を刺激してくれたことにひたすら感謝しちゃった。

 その数日前に病院から退院していた母親と会うのは4か月ぶりのこと。入居していた施設や緊急搬送された病院がコロナ禍での面会を許さなかったからで、ひとり暮らしをしていた自宅で2か月前に倒れた母は「危篤」で入院していたの。

 病院に電話をして容体を尋ねると、「ほとんどの時間、寝ています」と言うばかりで変わらない。なら、最後のときくらい自宅で過ごさせてやりたいと、そう思ったわけ。

 東京在住の私が母親を茨城の実家で看るための条件は、ワクチン2回の接種が終わっていることと、帰郷直前にPCR検査をしてくることだ。それをクリアして母親を介護タクシーに乗せて家に連れてきた。8月上旬のことだ。

 いやもう、あのときの衝撃を思い出すといまでも悪寒が走る。車椅子の母親はまるで人間の抜け殻で、話しかけても何も反応しないサイボーグ婆さんだ。それを看護師は、「今日は最高に調子がいいんです。普段はほとんど昏睡状態と言ってもいいくらいですから」と言うの。

 それだけでも弟夫婦と私を黙らせるに充分だったけど、自宅の介護ベッドに寝かせてすぐ、初めて母親のオムツを外したときの衝撃と言ったらない。

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