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厳格な父親の呪縛に苦しんだ40代男性は、なぜ20年のひきこもり生活を克服できたのか?

NEWSポストセブン / 2021年10月12日 16時5分

 既に統合失調症や双極性障害といった精神疾患でも、諸外国の主要ガイドラインに出るほど推奨されており、近年海外では、摂食障害や発達障害、犯罪対策、薬物・アルコール問題、認知症を含む高齢者、うつ病の治療法としても実践されてきています」

傾聴・共感の具体的な実践法

 家族療法により、Yさん親子はどう変化していったのか。

「まず、母親が家族療法を学び、Yさんに対してどう傾聴・共感すれば良いのかについてセラピストのアドバイスを受けました。同時に、Yさんもセラピストのカウンセリングを受け、過去自分がどんな気持ちだったのか、何が苦しかったのかを話す訓練を行うはずだったのですが、堅く心を閉ざしていたYさんの場合、当初カウンセリグに来ても一言も話さなかったようで、セラピストは話し始めるのをじっと待ち続けたそうです。月に2度のカウンセリングには通ってはいたものの心を開くまでには長い時間がかかり、開始から1年半ほど経った頃、ようやくYさんはカウンセラーに対し、自分の気持ちをポツポツと話すようになったのだそうです。

 その後、Yさんは自分の気持ちを相手に伝えるコミュニケーショントレーニングを学び、少しずつ母親とも話が出来るようになっていきました。母親も、Yさんの言葉に耳を傾け始めると、徐々に自分が夫や姑の方ばかり見ていて、息子であるYさんをまるで見ていなかったことに気付き始めました。母親も傾聴・共感の訓練を続けたことで、Yさんの話に反論することなく、上手に聴けるようになったのです」

 2人の関係だけでなく、家庭環境も変化した。一家の絶対的な存在だった祖母と、口うるさかった叔父や叔母が相次いで亡くなったのだ。

「Yさんと母親は、それまでにも増して互いに向き合うことになりました。そして、ある日の会話で母親がYさんにこう言いました。『私はあなたのことを見ていなかった。それがいけなかった。ごめんね』。その時の母親の素直な気持ちでした。母親が正直に打ち明けてくれたことが、Yさんはとても嬉しかったそうです。

 これを機に、Yさんの心は自然と外に向かうようになりました。誰とでもコミュニケーションが取れるとまではいかないものの、意欲が生まれ自ら勉強して資格を取り、家業も少しずつ手伝うようになっていったのです。所有する賃貸住宅の管理など仕事するうち、佇まいや表情が明るくなって、口数もどんどん増えていきました」

 家族療法を受けた際の心境について、Yさんが話す。

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