池田模範堂 乾燥肌ケアは「尿素」という常識を打ち破った戦略

NEWSポストセブン / 2013年2月8日 16時0分

 空気が乾燥する冬。年々乾燥度は上がっているといわれ、乾燥肌に悩む人のためのアイテムも、加湿器だけでなく、最近は保湿効果のある下着、寝ている間の口の乾燥を防ぐためのマスクなども登場している。
 そんななか2011年から「冬にもMUHI」をスローガンに、池田模範堂が販売する乾燥肌トラブルの治療薬シリーズの売上が好調だ。「冬にもMUHI」を投入した経緯はなんだったのか、そしてその戦略は――。池田模範堂の池田専務に話を聞いた。

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 乾燥肌トラブルの治療薬といえば、当時「尿素」を主成分とする商材が主流でした。猫も杓子も「乾燥肌には尿素」という対処法一辺倒でした。市場自体も成熟化し、大容量化、低価格化の競争が激化、縮小傾向にありました。

 一方、当社では、長年「かゆみを科学する」のスローガンの元に開発してきた皮膚用外用薬のノウハウを、「かゆみ」以外にも生かすことで、企業成長を実現できないかと考えていました。そんな折、最近の皮膚科学研究の進展から、乾燥肌を呈する症状、部位によっては、尿素成分にも適不適があることがわかってきました。そこに、乾燥肌市場に未充足なニーズが存在すること、当社なりの治療コンセプトを持ち込んでそのニーズが解決できること、その結果、成熟した既存市場を活性化させる形で市場参入が可能であることがわかりましたので、当社の重点事業領域として展開を開始いたしました。

■すでにある顧客の強い信頼にどう答えるか

 お客様の心の中にすでに強く入り込んでいる「尿素」への強い信頼にどう割り込んでいくか、が課題でした。当社では別の観点から――つまり「尿素」という成分だけをフォーカスするのではなく、乾燥肌のを「症状」「部位」ごとに細分化し、それぞれに最適な処方の商材をご提案することにしました。

その方針にのっとり開発された商材が、創業100周年を控えた2007年に全国発売した指のパックリ割れるヒビを修復する治療薬「ヒビケア」です。おかげさまで、この商材は発売年よりいきなりトップランクとなり、しかも、他社の商材から売上を奪うのではなく、既存市場に新たにプラスオンとなる販売実績を記録しました。

この成功は、皮膚用外用薬全般をカバーする企業へとステップアップする機運きっかけとなりました。企業スローガンとCIを「ムヒ かゆみを科学する」から「肌を治すチカラ MUHI」へ刷新。これまで特化していた「かゆみ」から、「肌トラブル全般」へと事業ドメインを拡大させることにつながりました。

■「冬にもMUHI」関連商品の成功ポイントは、細やかなニーズの探索と実力のある商材の提案

 皮膚は、毛が生えている部位、湿っている部位、常に衣類との摩擦が起こる部位、外気にさらされている部位などなど、様々です。そのため、荒れ、割れ、かゆみなどといった症状も、部位、季節、年齢により発症のメカニズムがそれぞれ異なる場合が多々あります。

 乾燥肌トラブルに関して当社が行った調査の中で多く聞かれた声は、従来の市販薬の効き目には満足していない、気休め程度として使用している、というものでした。前述のように、一括りに乾燥肌ととらえると、実は満足度の低いユーザーがでてきてしまうのではないかと考えました。

 試行錯誤の中、当社では、乾燥、寒さによる血行不良により、肌そのものの自立的な回復ができず、同じ症状を冬の間中繰り返してしまうという不満点に着目しました。そこで、「冬にもMUHI」シリーズには、弱った肌細胞を活性化し、自立的な修復機能を高める「パンテノール」という有効成分を共通配合しています。

現在の「冬にもMUHI」ラインナップは4商品。「ムヒソフト」(全身性の冬の間繰り返すかゆみ肌の治療薬)、「ヒビケア」(手・指の何度も繰り返しパックリ割れるひび割れ治療薬)、「ヒビケアFT」(ぶ厚いかかとの深いパックリ割れ修復治療薬)、「リペアクト」(すねなどの亀裂粉ふき・荒れ割れ肌の治療薬)と、きめ細やかな商品ラインナップとすることで、それぞれの症状に対する効果の満足度を高めています。

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 専務によると、現在、かゆみ止めのムヒシリーズを中心とした夏季の売上と、乾燥肌トラブルなどの冬の売上の構成比は7:3だという。今後は「冬にもMUHI」を拡大させることで、この構成比を5:5にまで拡大していきたいとの考えだ。夏向け、冬向けといった“カテゴリ”先にありきではなく、顧客の声に細やかに耳を傾け、実力のある商品でその声に応え続ける――奇抜な手法でも、華やかなプロジェクトでもない。その真摯な姿勢こそが、成熟していたかと思われていた市場に風穴を開けたのだ。



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