安倍首相の補正予算 失われた「票とカネ」取り戻すのが主眼

NEWSポストセブン / 2013年3月6日 7時1分

「日本を取り戻す」と宣言して政権を奪還した安倍首相が最初に手がけた補正予算は、4年間の野党時代に失われた自民党の「票とカネ」を取り戻すことに主眼が置かれた。それを象徴するのが農水省の「土地改良事業」(農業農村整備事業)予算の完全復活だ。その内幕をジャーナリストの武冨薫氏がレポートする。

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 麻生内閣当時の2009年の土地改良予算は5772億円だったが、今年度の当初予算では2129億円と民主党政権下で3分の1近くまで削減されている。これは数少ない民主党政権の成果である。

 政権復帰した自民党は早速、巻き返しに出た。自民党農林部会(小里泰弘部会長)は「麻生内閣時代以上の予算規模に戻す」という方針を決め、農水族議員と農水省が一体となって補正予算に国の直轄事業1640億円と自治体が行なう土地改良事業などへの補助金(農山漁村地域整備交付金1650億円)を合わせて約3300億円を追加したのだ。夏の参院選をにらんだ集票予算であることは明らかだ。

 同じく民主党政権時代に大きく公共事業費を削られた国土交通省は、早くから自民党の政権復帰をにらんで予算奪還を準備してきた。昨年夏にはまだ野党だった自民党の議員立法「国土強靱化基本法案」(今後10年間で200兆円のインフラ整備)の策定を支援し、凍結されていた整備新幹線、東京外環道路など大型プロジェクトの建設再開方針を決めた。

 それだけに、補正予算には満を持して道路、河川、港湾の公共事業三本柱はもちろん、空港、鉄道(整備新幹線)などに総額1兆8800億円をつぎ込む。その内容は防災名目のインフラ補修だけでなく、全国の高速道路の新設(1261億円)やコンテナターミナル新設(194億円)、「災害時に被災者の防災拠点になる」という理由でちゃっかり役所の庁舎の新設・改修(104億円)まで盛り込んだ。

 住民がいない沖ノ鳥島の津波対策にも予算が追加され、事業総額は6年間で750億円になる見込みだ。そうしたインフラ整備には自治体の負担(2分の1~3分の1)が必要だが、政府は「地域の元気臨時交付金」(内閣府)として約1兆4000億円を組み、自治体側の負担がほとんどなしで下水道や道路などの公共事業を発注できる仕組みをつくった。

  自治体にすれば臨時交付金は魅力だが、その裏にはしっかり選挙区への利益誘導の仕掛けがある。自民党農水族議員がカラクリを明かした。

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