鎌田實医師 ナミビアでブラッド・ピットが座った椅子に座った

NEWSポストセブン / 2013年3月8日 7時0分

 ベストセラー『がんばらない』の著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、チェルノブイリの子供たちへの医療支援などに取り組むとともに、震災後は被災地をサポートする活動を行っている。その鎌田氏が、アフリカを訪問した際に見たいろいろな愛のかたちについて語る。

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 アフリカへの旅行中、僕はナミビアを訪れた。昨年末の『紅白歌合戦』で、歌手のMISIAが、この国のナミブ砂漠から生放送で2曲歌った場所である。世界でいちばん美しい砂漠といわれ、実際、噂に違わない美しい場所だった。

 そのほど近くに位置するバーニング・ショアに小さなロッジがあり、僕はそこに泊まった。

 このロッジは、ハリウッドの人気俳優、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー夫妻が、6か月間、借り切って滞在したらしい。夫妻は、この場所で愛を育み、子どもを出産したのだとか。

 ブラピが座ったという椅子に腰かけてぼんやりと海を眺めた。残念ながら、僕は、愛は育まなかったが、生ガキとムール貝をお腹いっぱい食べた。

 このナミビアには、バンツー族という部族がいる。かつては、ニカウさんで有名になったブッシュマンと呼ばれたサン族が中心だった。しかし、次第にこのバンツー族が勢力を持つようになり、サン族は追いやられていった。

 彼らは、アフリカの都市を除く、地方に住む部族がそうであるように、一夫多妻制だ。僕が出会った一家は、19歳から23歳までの若い妻たちが5人もいた。一家は遊牧しながら暮らしている。家畜の牛が草を食べ尽くすと、次の場所に移っていくのだという。

 5人の妻たちは、一家の3人の子どもを協力して育てている。どの妻の子どもであっても、一人の夫から生まれたみんなの子であるから一緒に育てる。そこには競争もなければ嫉妬もない。本当かなと疑った。質問をしたが、本当のことだという。しかし、本人も気づいていない意識の下層に渦巻く思いがあるのではないかと、いまも僕は疑っている。

 愛のかたちは、いろいろある。いろいろあっていいのだと、改めて自分に言い聞かせた。

 バンツー系のヒンバ族は、赤い泥を上手に暮らしに取り入れて生活をしている。お風呂には入らず、この泥を体にこすり付けるのが、風呂の代わりなのだという。

 髪の毛も2センチメートルくらいの束にして、赤い泥で固めてセットしている。迫力ある肉食系女子という感じの彼女たちと写真を撮った。

 ボツワナでも、若い女性3人に囲まれた。彼女たちがいった。

「一緒に写真を撮ってください」

 なんとも悩ましく、官能的なポーズ。なぜか、行く先々で一緒に写真を撮ってほしいと頼まれるのだ。

 彼女たちは、現地ではめったに見かけない日本人に、積極的に声をかけてきてくれたのだろう。男からでも女からでも、モーションを起こすことが大事なのだと思った。

※週刊ポスト2013年3月8日号

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