カルシウム摂り過ぎると死亡率2.6倍の根拠を医療専門家解説

NEWSポストセブン / 2013年3月17日 7時0分

「私は毎日小魚を食べてますし、ヨーグルトは大好物。お風呂上がりの牛乳も欠かしません。丈夫に育ってほしいから、子供にも毎朝欠かさず牛乳を飲ませています。カルシウムはたっぷり摂らないと…ですよね?」(50才・専業主婦)

 こんなふうに心がけている人は多いはず。カルシウムは骨や歯を丈夫にすることはもちろん、神経の伝達や筋肉の収縮など、人が生きる上で欠かせない栄養素というのが“常識”だからだ。

 ところが今年2月、「カルシウムを摂りすぎると死亡率が約2.6倍になる」という驚きの研究が発表された。

 骨を強くしたり、骨粗鬆症を予防したりするために、積極的にカルシウムを摂取するよう言われてきたのに…。

 この衝撃的な研究報告を発表したのは、スウェーデンにあるウプサラ大学の研究チーム。今年2月にイギリスの医学雑誌に研究結果が掲載された。

 50才以上のスウェーデン人女性6万1443人の食事を平均19年間にわたって追跡調査。その結果、通常の食事で1日1400mg以上のカルシウムを摂取していた女性は、摂取量が欧米の標準値である600~1000mgの女性に比べ、死亡率が1.4倍も高かった。

 さらに、通常の食事にサプリメントを加えて1日1400mg以上のカルシウムを摂っていた女性は、なんと死亡率が2.57倍に跳ね上がったのだ。

 この研究で死亡リスクを上昇させたのは、心筋梗塞、狭心症などの「心血管疾患」だった。なぜ、体に不可欠の栄養素であるはずのカルシウムが「死」につながるのか。

 東邦大学医療センター佐倉病院教授の東丸貴信さんは、その理由をこう解説する。

「体内のカルシウムの99%は骨や歯に存在し、残り1%は血液や筋肉など体内のさまざまな器官にあるのですが、カルシウムを過剰に摂取すると、血中のカルシウム濃度が上がり、血液がドロドロになってしまいます。

 同時に、カルシウムが血管の細胞や組織に付着して固まったり(=石灰化)、プラーク(脂肪などの塊)という堆積物をつくりだすことで動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞などを発症すると考えられます。サプリは一般の食事より吸収率が高く、服用すると血中のカルシウム濃度を急激に高めるため、体に影響が出やすいと考えられます」

 今回のスウェーデンの研究では、50才以上の女性が対象だった。しかし、同様のリスクは、老若男女関係なく存在すると、東丸さんは言う。

「たとえば、30~50才以上の女性を対象としたニュージーランドの研究では、カルシウムサプリの過剰摂取により心筋梗塞のリスクが25%高まると指摘しています。年齢や性別に関係なく、カルシウムの過剰摂取は深刻な疾患を引き起こすリスクがあると世界で認められているのです」

 特に、30~40代は注意が必要だ。骨粗鬆症を防ぐにはカルシウムの摂取が必要とされているので、予防のつもりで若いうちからカルシウムを多めに摂取している女性が少なくないからだ。また、東丸さんはこうも語る。

「ただし、通常の食事でたくさん摂る分には、サプリほど急激に血液中のカルシウム濃度が上昇するわけではないので、あまり気にする必要はありません」

 高齢化社会の進行により、現在日本には約1100万人もの骨粗鬆症患者がいて、そのうち女性は約700万~800万人と推定されている。サプリを使う人も多いが、医者の適切な指示なしに、そればかりに頼るのは危険ということだ。

※女性セブン2013年3月28日号

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