最高の離婚「反発しつつ高評価」の視聴者多い理由を作家分析

NEWSポストセブン / 2013年3月21日 7時0分

 今期注目のドラマ、奇抜なタイトルだけでなく視聴者をストーリーに巻き込むという意味でも新しい方向性を示したといえそうだ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析する。

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「ヤフーテレビ」の「みんなの感想」コーナーで、ドラマ部門コメント数トップの座を、『純と愛』から奪取したドラマ。それが、『最高の離婚』(フジテレビ系・木曜夜10時)です。いよいよ3月21日木曜日が最終回、15分の拡大版とか。

 登場人物は、2つのカップル。離婚したばかりの妻・結夏(尾野真千子)と奇妙な同居生活を続けつつ、偶然再会した学生時代の恋人にも引かれていくサラリーマン・光生(瑛太)。一方、複数の女との関係が精算できない上原諒(綾野剛)と、その諒に惹かれるけれど許すことができない灯里(真木よう子)。2つの個性的なカップルが、からみあい、不思議な化学反応を生み出していく。

 毎回放映されるラストのダンスシーンも、凝っています。

 桑田佳祐の主題歌「Yin Yang(イヤン)」にのせて、4人がタキシードとドレス姿で思わせぶりに絡み合いながら踊る。ここのところ、白スーツ姿の桑田佳祐までもが踊りに“乱入”して、話題を振り撒いています。

 ドラマのコメント書き込み数は、トップ。でも、ストーリー展開に対する視聴者の書き込み内容は、必ずしも「納得」のオンパレードとはいかないようです。

 第9話から前回の第10話。灯里は諒の子を妊娠していることを知る。諒は女たらしで、何人もの女性関係が発覚。灯里はそんな諒を、どうしても受け入れることができずに別れたばかり。それなのに。「妊娠」がわかったとたん、あっさり「諒とやりなおす」という結論を出す灯里。その姿勢に対して、納得できないという視聴者の声…。

「子供のためだけにヨリを戻し、相手を愛せない仮面夫婦なんかになっても二人は幸せになれない」
「そんなに簡単に、仮面の夫婦は演じられない」
「自己完結している灯里は好きになれない」

 興味深いのは、そうした辛口コメントの中味、ではありません。

 厳しい書き込みをした視聴者たちが、ドラマに星をいくつ入れているのか。「5つ星」、つまり最高ポイントを入れる視聴者が実に多いのです。ちょっと不思議ではありませんか? 「最高の離婚」というドラマが、書き込み数トップとなる理由も、実はそこにあるのでは。

 視聴者はドラマの内容に「寄り添う」けれども、必ずしも「同じ結論を出す」わけではない。自分なりの考えや意見、選択肢を持っている。結論を共有しなくも別にかまわない。

 主人公たちの心の揺れ、その心理的プロセスが丁寧に細やかに描かれてさえいれば、たとえストーリーの行き先に同意できなくても、それはそれでオッケー。ドラマ自体は高く評価するのです。それが今の視聴者の、ひとつの視聴スタイルではないでしょうか。

  ドラマの結論を共有する、というよりも、進行していく「プロセス」そのものをともに分かち合い、自分もそこで考えてみたい。それが、現代のドラマの楽しみ方の一つではないでしょうか。

 お茶の間でドラマを見る時。「私ならどうする?」と、あなたは絶えず自分自身に問いかけていませんか?

「あなたならどうする?」

 最終回を迎えるドラマの中に、さて今回はどんな問いかけが潜んでいるでしょう? 

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