「肝機能異常」増加 メタボ男性だけでなく中高年女性も注意

NEWSポストセブン / 2013年3月22日 16時0分

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健康な肝臓(上)と脂肪肝の一種(下)。脂肪で白っぽくなり、風船状にのびて広がっている

 東洋医学では「春は肝の季節」といわれる。冬の間、停滞していた体は春になって目覚め、細胞の生まれ変わりが活発になる。そのときに活躍するのが「肝」である、という考え方だ。

 しかしこの時期、活躍してくれるはずの肝臓にトラブルが多発している。日本人間ドック協会によると、2011年に人間ドックを受診した約313万人について、「異常なし」の人の割合は、過去最低の7.8%。また、生活習慣病に関係する項目で、最も多いのが「肝機能異常」の33.3%。異常がある人の3人に1人が、肝臓に問題を抱えていることになる。

 肝機能の状態を示す指標には、ALT、AST、ガンマGTPの3つがある。これらが異常を示すとはどういう状態か、大阪市立大学大学院医学研究科の河田則文教授に解説してもらった。
「ALT値が高め(要注意以上)になった場合、組織を検査すると、肝細胞に壊死が見られ、炎症性細胞浸潤があります。また、脂肪肝の場合は、肝細胞が風船のようにふくらんでいます。ただし、自覚症状はまったくない。これが、肝機能異常の怖いところです。

 肝機能の異常を放置すると、肝臓が変形し、最終的には肝硬変になります。また、肝臓がんを発症することもあります。そこまで放置すれば、命に関わる危険があるのです」

 肝機能異常の中で、とくに増えているのが『脂肪肝』。
「外食が増えたり、運動不足だったりして肥満になり、それにともなって糖尿病や脂質異常症を発症する人が増えています。その合併症として、肝機能に異常をきたすのです。私たちの調査では、50~60代の中高年女性に圧倒的に多く、脂肪肝よりもさらに進行した“脂肪性肝炎”になっていることもよくあります」(河田教授)

 肝機能の異常は、自覚症状がないため、健康診断や人間ドックで発見されるか、ほかの病気で検査を受けたときに、『ついで』に見つかることが多い。これが“沈黙の臓器”といわれる所以だ。

「検査でも、正常値をかなり上回った場合は治療に進みますが、『ほんのちょっとなら』と、患者自身も、医師も放置してしまい、手遅れになるケースも多いのです」(河田教授)

 河田教授によると、肝機能を正常に保つには、次のようなことが大切という。
・お酒の量はほどほどに
・運動をして、腹部に脂肪をためない
・肝臓が働くエネルギーを補給するため、バランスのよい食事を心がけ、ビタミンやミネラルを摂取する
・定期的に肝機能の検査を受ける

 また、肝機能の改善を期待できるとして、しじみなどに含まれるアミノ酸の1種『オルニチン』も注目されている。
「最近、『成長ホルモンが、脂肪肝を抑制する可能性がある』と発表されました。オルニチンは成長ホルモンの分泌を促すことから、脂肪肝の抑制につながるのでは、と考えられています」(河田教授)

 ある試験では、肝機能の指標のひとつ ALTの値が高め(要注意レベル)で、脂肪肝が認められる成人男性が毎日1.6gのオルニチンを摂取したところ、3週間で「脂肪肝、ならびに肝機能が改善した可能性がある」と報告された。

「オルニチンは食品に含まれるアミノ酸ですから、安心して摂取できます。また、食品ですので医薬品よりも手軽に入手できる点もメリットといえるでしょう」(河田教授)

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