女性作家が視聴の質で選んだ2013冬ドラマ「極私的ベスト3」

NEWSポストセブン / 2013年3月30日 16時0分

 期待を裏切った作品があれば想像以上の反響もあった冬ドラマ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が総括した。

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 いよいよ3月も終わり。冬ドラも次々に最終回を迎えて大団円。

「民放の連ドラは15%が合格ラインといわれるが、はるかに下回っている」「ドラマ冬の時代は避けられそうにない」(J-CASTニュース)

 というように、視聴率を根拠にテレビドラマの低調ぶりを嘆く言説は多い。けれど、私はそう思いません。細かなところに丁寧な工夫が凝らされ、ストーリーに限らず演出や構成がとても斬新だったり、役者がすごい集中力を発揮したり、新しい個性を見せてくれたり……。秀逸な娯楽作品が、今期のドラマにも確実にあったからです。

 ドラマを録画して見る人も増えた今日この頃。放映時の視聴率という、古典的な数字だけでは評価しきれないドラマの中身。そこで、数ある冬ドラの中から、視聴「質」を軸に「極私的ベスト3」を選んでみました。

●1位 『書店員ミチルの身の上話』(NHK)

「もし、偶然手にした宝くじが、2億円の当たりくじだったら…。」がキャッチコピーの10回ドラマ。平々凡々とした地方都市の一書店員・ミチルが2億円の宝くじを当て、本人と周辺の人々の運命が急激に狂いだし、何人もの人が死んでいく、という物語。

 絶対にありえない、闇の夜に針の穴を通すような物語設定。なのに、もの凄いリアリティ。ぐいぐい引き込まれました。ミチルを演じた戸田恵梨香は、いかにも地方都市の平凡な書店員という役作りで二重マル。安藤サクラや高良健吾、濱田マリ、新井浩文の脇役陣もぴりりと効いた。

 芝居上手な役者を配置し、説明セリフを廃し、衣装からセット、ロケ地の選定まで的確。物語世界の雰囲気・空気感をしっかりと際立たせた映像センス。演出家とスタッフに大きな拍手です。ファンタジー世界にどっぷりと没入させてくれた、という意味で、この作品は「映画的」に成功した作品でもありました。ちなみに10回の平均視聴率はたったの「6.1%」でした。

●2位   『ミエリーノ柏木』(テレビ東京系)

AKB48・柏木由紀の連続ドラマ初主演作。触れた相手の恋愛にまつわる近未来が見えてしまう、特殊能力を持つカフェ従業員・柏木が、さまざまな恋愛模様に出会い、自分自身も変化していくという風変わりなドラマ。

 風変わりといえば、毎回オムニバス形式でドラマツルギーとしては掴みにくいけれど、カフェのマスター演じる佐野史郎、手伝いの今野浩喜(キングオブコメディ)と柏木が交わす会話が実に味わい深い。それに加えて、言葉を使わないアイコンタクト、表情、しぐさのコミュニケーションの妙が。

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