東大・京大がスタンフォードに勝てない理由 瀧本哲史氏が指摘

NEWSポストセブン / 2013年4月2日 7時0分

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京大人気No1教官の瀧本哲史氏「勉強はサッカーに見習うべき」

 京都大学の教養課程の「英語化」が話題を集めている。京都大学客員准教授で、エンジェル投資家でもある瀧本哲史氏は、東大・京大レベルでは、英語化は不可避な流れだと話す。英語力によって大学や仕事が選別される時代において、日本の教育はどうあるべきなのか。瀧本氏に聞いた。

 * * *
――大学受験で求められる英語力が高度化すれば、早期教育の必要性が高まっていくのでしょうか。

瀧本:高レベルの大学を目指す学生ほど、早期の選抜が進むのは避けられません。これから重要になってくるのは、教育を均質にすることではなく、才能のある人に、より早くチャンスを与えること。例えばサッカーには、そういう仕組みがあります。

 全国にJリーグのジュニアチームがあって、そこで選抜された選手には、ふさわしいチャンスが与えられていく。サッカーには飛び級が存在しますが、誰も文句を言いません。いまJリーグでは英語教育もするし、私はディベートを教えに行ったりもしています。グローバル競争が激しいサッカー界には、グローバル人材を育成するシステムが構築されているんですね。

――世界で活躍するには、サッカー選手にも英語とディベートが必要だと。

瀧本:JFA(日本サッカー協会)の方が言うには、かつては、足が速くて、上手にボールを蹴る選手が欲しかった。いまは、コミュニケーション力のある選手じゃないと生き残れないと。一流チームで活躍するには、バックグラウンドの異なる選手と、戦術を共有しなければなりません。チームメイトに、自分の意思を説明しなければいけない。日本のサッカーが強くなったのは、グローバルに活躍できる人材を育成するシステムが機能し始めたからです。

 正しいメソッドと正しいインセンティブが働けば、その競技は強くなる。一方で、相変わらず指導が古い柔道などは、世界で勝てなくなっています。学問も、“サッカー化”する必要があるのです。

――京大は英語化に続き、推薦入試の導入も発表しました。東大も、推薦入試の導入を決めています。二校の相次ぐ改革は、現状への危機感の表れと受け止めることもできます。

瀧本:東大・京大にとっては、いままさに、世界のなかに踏みとどまれるか、日本のローカル大学に成り下がるのかの瀬戸際にあります。海外の学生や研究者から見て、東大・京大が来たい大学でなくなったら終わりです。これは、大学だけの問題ではないんですね。

 わかりやすくいえば、アメリカのボストンではライフサイエンスが、西海岸ではITが成功しています。そうした産業を支えているのが、ハーバード大学(ボストン)とスタンフォード大学(カリフォルニア州)という二大名門大学。大学が世界中から優秀な人材を集め、彼らが卒業した後、ビジネスで成功していくというサイクルが地域に根付いている。教育機関とビジネスの密接性は高くなっていて、大学の没落はすなわち、国の没落につながるのです。

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