地下水湧出、マグマだまり10km上昇で富士山の噴火近づくか

NEWSポストセブン / 2013年4月17日 7時0分

 日本最高峰が眠りから覚めて大噴火したら、どんな事態が起きるのか。海洋地震学者の木村政昭氏が解説する。

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 2011年の東日本大震災以降、富士山麓で数々の異変が起きている。

 北東麓の山梨県忍野村では過去10年間、震度1以上の有感地震は一度も起きていなかったが、同震災を境に有感地震が頻発するようになった。

 また山頂をはさんだ南東側の静岡県富士宮市では、同年9月、突然、大量の地下水が湧き出した。その他にも斜面で噴気が観測されたり、山麓の洞窟の氷柱が短くなる現象などが報告されている。

 それらの現象は何を物語っているのか。富士山の火山活動が活発化していると考えるのが自然である。マグマの上昇が斜面や山麓に亀裂を生じさせ、地熱上昇をうながしているとみられる。

 有史以来、富士山は噴火を繰り返してきた。最後に噴火したのは1707年の宝永噴火である。以来、300年以上にわたって地下に巨大なエネルギーをため込んできた。いつ噴火してもおかしくない状態だったが、東日本大震災が引き金を引いたといえる。

 そもそも地震と火山の噴火は表裏一体の関係にある。どちらも地殻を覆う硬い岩盤であるプレートの移動によって起こる。火山の火口の下にはマグマが滞留しているマグマだまりがある。プレートが移動してマグマだまりが圧力を受けると、マグマが上昇して地表に溢れ出る。これが噴火である。

 マグマだまりの位置は液体を伝わる低周波地震を観測することで分かる。以前は低周波地震の震源は地下10数キロメートルから20キロメートルあたりだったが、東日本大震災後は地下数キロメートルのところまで上がってきている。いよいよ噴火のカウントダウンが始まったとみていい。

 富士山が噴火すると、どんな事態になるのか。8000年から1万年ほど前には山梨県大月市や駿河湾まで達する大規模な溶岩流出があったことが分かっている。

 864年の貞観噴火では北西斜面から溶岩が流出し、青木ヶ原樹海や西湖、精進湖が形成された。

 一方、宝永噴火では溶岩はほとんど流出せず、溶岩の塊や軽石、火山灰などの火砕物が空中に大量に放出された。火山灰は約100キロメートル離れた江戸にも達し、10日間降り続いて昼間も薄暗かったという。もし今、宝永噴火と同様の噴火が起きたら、首都圏の水道や交通などのインフラはたちまち機能不全に陥り、多くの人々の健康が蝕まれ、農作物などにも甚大な被害が出るだろう。

 どういうタイプの噴火になるにせよ、最悪のケースを想定して対応策を練っておく必要がある。

※SAPIO2013年5月号

NEWSポストセブン

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