山本一郎氏「ネット選挙解禁で選挙は従来以上の名簿勝負に」

NEWSポストセブン / 2013年4月26日 16時0分

 ネット選挙解禁で沸いているのは政治家だけではない。“特需”を期待する関連業界も同じだ。だが、そこで売り込もうとしている新サービスは、果たして本当に政党や政治家が必要としているものなのか。10年近く有権者の投票動向の分析や予測など選挙関係の調査に関わり、選挙とネットの関係に詳しい山本一郎氏が論じる。

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 ネット選挙解禁を機にビジネスチャンスが拡大すると捉える広告代理店、PR会社、ネット関連会社などが、政党や個々の政治家からネットを使った選挙運動のコンサルティング業務を請け負おうと営業活動を活発化している。「ネット戦略におカネを注ぎ込めば効果的な選挙戦術を編み出せます。選挙に勝てます」といった売り込みをかけている。中には「選挙特需」という言葉を使って期待感を露わにする業者もいる。

 だが、今、盛んに売り込まれているサービスには、当選するためには的外れなものや瑣末なものが多い。まず、ネット選挙については、メディアの報道も含め、大きな誤解がある。流行りのSNSを使えば、若者を中心とする浮動票を獲得できるかのようなイメージが振りまかれているが、それは幻想にすぎない。

 もともと日本の選挙は、アメリカの大統領選などを参考に、そのまま手法を持ち込んでもなかなかフィットさせられない。争点ごとの有権者の態度が曖昧で、また組織票の比率が高いからだ。

 それはネット選挙が解禁されても同じどころか、よりその傾向は強まるだろう。よほどの人気政治家でない限り、ただHPやブログ、ツイッターやフェイスブックを更新するだけで「支持政党のない」「浮動」層から注目され、それが支持=票につながるわけではない。  

 有権者に対して効果的なアプローチを直接的、継続的に行なうためには、そのメールアドレスを把握しておく必要がある。しかし、浮動層が特定の政治家や政党に自分のメールアドレスを提供するかといえば、提供しない人がほとんどだろう。実名登録が原則になっているフェイスブックのアカウントを提供する可能性はもっと低い。

 むしろネット選挙は、もともと充実した支持者名簿を持ち、組織選挙を得意とする政党、政治家に有利に働く。たとえば、何らかの業界団体を代表して比例代表で出馬する政治家、“ドブ板選挙”で固い支持基盤を持つ政治家などだ。

 そうした政治家がメール、ツイッター、フェイスブックなどを使うと、従来のように電話を使うよりも容易に、安価に、効率的に支持者に投票行動を促すことができる。自民党が積極的にネット選挙解禁に賛成してきたのは、組織選挙を得意としており、ネット選挙の解禁が有利に働くことを自覚しているからである。

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