終了間近の出雲大社「平成の大遷宮」 精鋭職人が緻密作業

NEWSポストセブン / 2013年5月10日 16時0分

 今年、およそ60年に1度の出雲大社「平成の大遷宮」が行われる。総事業費80億円。2008年4月の開始以来、各地から集められた少数精鋭の職人たちが、5年の歳月をかけて行ってきたプロジェクトは、まもなく終わりを迎えようとしている。

 修復中、高さ24mの本殿は素屋根と呼ばれる鉄骨の屋根で覆われ、保護された。そこから毎日のように、トントントンと金槌の音が聞こえた。これほど大規模な修復工事ではあっても、電動工具の音が響くことは少ない。昔ながらの工具により、伝統的な方法に基づいて修復が行われるからだ。大遷宮工事に参加した地元の宮大工・後藤史樹さん(54才)は、こう話す。

「地元文化財の修復に参加できて感無量です。この仕事を大工人生の最後にしてもいいくらいの覚悟でもって取り組んできました」

 素屋根の中に入ると、屋根の高さに合わせて造られた足場に屋根の葺き替え専門の職人が等間隔に並んで座っている。彼らの後ろに積まれていたのが、膨大な枚数の檜の皮──檜皮(ひわだ)だった。

 出雲大社の本殿の屋根は、檜皮の下に何百枚もの杉板が二重に敷き込まれている。その継ぎ目には、パテとして漆が詰め込まれ、雨漏りを防ぐ。その上に檜皮が貼られるのは、繊維の強度が高く、腐食しにくいという利点があるからだ。

 屋根は片面だけで縦13m×横21m、両面合わせた面積はバレーボールコート約4面に相当する。その広大な屋根に敷き詰められていた64万枚、47トンもの檜皮をすべて剥がし、新しいものに貼り替えるという気の遠くなるような作業が、今回最も重要な工程だった。

 檜皮を打つのは、金属ではなく竹製の釘だ。金釘を使うと、60年の間に風雨によって簡単に錆びついてしまうのだ。竹釘を打ち込む作業には職人の確かな技が必要となる。檜皮の打ち付けには、ミリ単位の正確さが求められる。だから利き手で金槌を操りながら、一方の手は、常に檜皮を押さえていなければならない。

「職人たちは口に40~50本の竹釘をくわえておきます。竹釘を一本だけ口から出すと、金槌を持ったまま利き腕の指先で1本、さっとつまむ。そのまま金槌の柄の部分で板に打ち込んだら金槌を持ちかえ、頭の部分でさらに打ち込むんです」(後藤さん)

 片腕で檜皮を押さえたまま、一連の作業を利き腕のみで行うのだ。

「普通の人が竹釘を打つと簡単に折れてしまうけれど、彼らのような職人の手にかかると、1本打つのに1秒とかかりません」(後藤さん)

※女性セブン2013年5月23日号

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