ネット証券 仲居制度廃止しプリフィックスの料理で旅館再生

NEWSポストセブン / 2013年6月16日 7時1分

 バブル崩壊後の景気低迷や、団体旅行から個人旅行へと変化した市場のニーズに対応できず、9割以上が赤字経営で苦しんでいるといわれる日本旅館。
 
 そんな日本の文化を守ろうと、異業種から旅館再生に取り組む会社がある。顧客利便性の高い金融サービスを圧倒的な低価格で提供するネット証券のGMOクリック証券のグループ会社で、投資支援、事業再生を行なうGMOクリック・インベストメントだ。
 
「経営不振に陥っている旅館のなかには、風光明媚な土地柄でいい温泉を持つ宿も少なくありません。私たちが証券業で培ったノウハウをアレンジすれば、再生できるんじゃないかと思い、チャレンジすることにしたんです」
 
 と、プロジェクトのリーダーを務める白旗慎吾氏はいう。
 
 そんな彼らがいち早く目をつけたのが、早咲きの“河津桜”で有名な伊豆・河津町の老舗高級旅館『玉峰館』。現存する最古の記録によれば、宝亀10年(779年)に「花田の湯」と呼ばれる霊泉が湧き出して多くの名僧が浴したという伝説の湯。

 その後は荒廃していたが、地元の名士・稲葉時太郎が温泉採掘に情熱を注ぎ、大正15年11月22日に地上50メートルもの高さに噴き上がる熱泉(峰温泉大噴湯)を掘り当てた。その稲葉が、峰温泉を代表する高級旅館として開業したのが『玉峰館』だ。

 趣がある門構えや建物は残して改装する一方、離れや浴場棟、日本庭園を新設。昨年3月から1年余りをかけて念入りに準備を進めてきた。

 白旗氏の下でこのプロジェクトを仕切ったのが、GMOクリック証券を4年連続で顧客満足度1位に導いた経験を持つ沢田ちかこ氏。コンセプト作成から主要な客層の設定まで、中心になって計画を練り上げた。

「生まれ変わった玉峰館は、30~40代の女性が本当に寛げる旅館をコンセプトにしています。例えば、恋人としっとりしたいときは離れ、遅くまでみんなで語り合う女子会なら畳の和室、温泉を満喫されたいご夫婦には、大浴場2か所、貸切露天3か所をお愉しみいただく。シーンに応じて使い分け頂けるように工夫しました」(事業企画室マネージャー・沢田ちかこ氏)

 部屋のタイプによって料金は異なるが、2~4万円台とニーズに合わせて幅広く選べる。「広告を打たなくても売れる旅館にしたい」と30代女性のクチコミ力にも期待する。

 その一方で気になるのは、既存の日本旅館との差別化だ。GMOクリック証券グループにとって温泉旅館の再生事業は初めてのこと。異業種の同社が手がける意味はどこにあるのか。目指す旅館像について訊いた。

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