ANA エアアジアと提携解消でLCC事業の先行きはどうなる?

NEWSポストセブン / 2013年6月13日 7時0分

 いま、日本の上空には6か国11社、毎日約130便のLCC(格安航空)が飛んでいる。国内移動は3000円も出せば飛行機に乗れる時代。一昔前なら信じられないほど気軽な乗り物になった。

 だが、“薄利多売”が売りのLCCビジネスに綻びも見え出した。ANAが合弁事業で飛ばしていたアジア有数のLCC、「エアアジア」との提携を解消するという。正式発表はないものの、本国マレーシアのエアアジアは、「経営面で意見の相違に直面してきた」との声明を出した。

 エアアジア・ジャパンは昨年8月の就航以来、成田空港を拠点に国内線5路線、国際線3路線で運航してきた。LCCの生命線ともいわれる搭乗率は、就航直後こそ84%と好調だったが、その後は空席の目立つ便も多くなり、今年4月、5月は50%台にまで落ち込んでいた。

 そこまで人気が落ちた理由は何なのか。真っ先に挙げられているのがネット予約の使いにくさだ。昨年、福岡出張で「成田―福岡 往復1万5000円」のチケットを購入したという50代会社員が振り返る。

「本国のシステムをそのまま使っているのか、英語表現が多くて予約に手間がかかりました。それだけではありません。国内線なのにパスポート番号を入れなければならないとか、チェック項目を外さなければ予約料金や保険料が自動的に加算されてしまうとか……。二度と乗ろうとは思いませんでした」

 当然、国内で実績のあるメガキャリアのANAが運営に携わっていながら、利用者の声が届かないはずはない。ところが、不評も承知のうえで対応が遅れたというのだ。経済誌『月刊BOSS』主幹の関慎夫氏がいう。

「一度、ANA関係者にネット予約の件も含めて聞いたところ、『それでもスピードを買った』というんです。つまり、ANAは自社系LCCのピーチ・アビエーションの運航システムを1から作り上げるのに労力を費やし、それまでの間、他社にLCC市場を奪われてしまわぬよう、エアアジアとのアライアンスでつないできたのです」

 エアアジアの日本部門の赤字は日本円で約21億円。もちろん提携先のANAにとっても、買った時間の代償はあまりにも大きかったはず。

 航空経営研究所所長の赤井奉久氏は、エアアジア低迷の理由として「路線が少ない消極的な経営展開」を挙げる。

「同じ成田を拠点とするジェットスター(JAL系)と比べると、赤字覚悟でどんどん路線を増やすジェットスターに対し、エアアジアは慎重に採算性を見極めてから進出するスローな展開。キャンペーン料金もジェットスターより遥かに少ないから価格メリットが薄い。結局、いつまでたっても認知度は上がらず、稼働率が上がらない経営体質を続けたために、運航品質も確保しにくいという悪循環を招いています」

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