千葉真一 やりたいことは「教え子が主演する映画の脇で出る」

NEWSポストセブン / 2013年6月20日 7時0分

 日本が世界に誇るアクション俳優、千葉真一氏は、JAC(ジャパンアクションクラブ)を創設し、後進の育成にも長年取り組んできた。育ててきた教え子たちへの思いについての千葉真一氏の言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が綴る。

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 千葉真一の創設したJAC(ジャパンアクションクラブ)からは、真田広之、志穂美悦子、堤真一、春田純一といったスター、名優たちが数多く輩出されてきた。彼らは、体を張ったアクションに留まらず、ホームドラマやコメディ、シリアスなドラマなどもこなしている。そこには、千葉の確固たる育成方針があった。

「JACではアクションを教えているわけではありません。そもそもアクションというのはアメリカの監督が言う『レディ、カメラ、アクション』の『アクション』なんです。それは『演技しましょう』ということです。ですからJACの正式名称は『日本演技クラブ』なんですよ。アクションというと飛んだり跳ねたりと錯覚してしまうけど、そうじゃない。演技なんです。

 千葉はJACの教え子たちの主演作に自ら助演として参加することも多い。『百地三太夫』を始めとする幾多の真田広之主演作、黒崎輝主演映画『伊賀野カバ丸』、大葉健二主演テレビシリーズ『宇宙刑事ギャバン』……。30代前半にして後進の育成を行い、40代で自身もトップスターのうちに後進の活躍に華を添える。それは、当時の映画スターでは珍しいことであった。

「映画俳優は映画俳優を絶対に育てません。自分より大きくなったら困るわけですから。だからどんな新人も上から叩かれる。

 でも、僕はオリンピックを目指していたので、スポーツ選手を育てる感覚なんです。『俺よりいい記録を出せよ』と。役者でいえば、俺よりいいギャラをとるようになれ、ということです。それが上に立つ人間として当たり前のことなんですよ。

 だから、教え子が主演する映画の脇で出るというのは、僕が一番やりたかったことなんです。お前ら、俺を超えてゆけ、と」

●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。著書に『天才 勝新太郎』(文春新書)、『仲代達矢が語る日本映画黄金時代』(PHP新書)ほか。

※週刊ポスト2013年6月28日号

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