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【ラーメン店経営の組長射殺】対立組織のヒットマン逮捕で見える「警察の狙い」山口組抗争再燃の可能性も

NEWSポストセブン / 2024年6月19日 7時15分

 当局の見立てでは、当日、金澤容疑者は近くの洋菓子店でケーキを購入。それを手土産にして事務所に乗り込み、殺害した。事件は一心会と絆會の勢力争いの暴発だった。金澤容疑者は、一心会のプレッシャーを跳ね返すために若頭を殺害。一心会は即座に報復を行ない、伊賀市で絆會直参組長を銃撃している。

 二つ目がこのラーメン店主殺害事件だった。

「普通のヤクザなら、一度事件に使った拳銃はすぐ捨てる。海や川に投げ捨てれば、ほぼ絶対に見つからない。金澤若頭のようなタイプは、拳銃がないと落ち着かないから、事件に使った銃を捨てられなかったのだろう。つまり新しい道具を買う金がなかったとしか思えない」(警察関係者)

 逮捕された際の所持金も長期間潜伏できる金額ではなかったという。死刑を恐れず、次々と事件を起こした金澤容疑者もまた、哀しきヒットマンでしかない。

事件に関しては完全黙秘

 金澤容疑者の指名手配写真は、連続企業爆破事件の桐島聡の隣にレイアウトされていた。

 今年1月29日に桐島が死に、マスコミが連日騒いだため、隣に顔写真があった金澤容疑者に注目が集まり、当初はそれが急転直下の逮捕に繋がったという見方もあった。だが、潜伏していた最寄りの駅から徒歩で30分以上かかる仙台市内のアパートで、車での移動が大前提のエリアだ。東日本大震災以降、流入人口が多く、住民同士の交流はほぼない。近隣住民の「町内会費を払わない人」という証言はあったが、通報されるような環境には思えなかった。

 そのため六代目山口組は、絆會のイメージダウンのため「身内がチンコロ(密告)したんだろう」と喧伝しはじめた。

「あれだけの仕事を1人でしたのだから、組織の中ではどんな我が儘も通ったはず。でもいまの絆會は安い会費で運営されており、余剰財源を持っているわけではない。要求を断れず、耐えきれなくなった誰かがサツにたれ込むのはよくある話だ」(東京に本部を持つ六代目山口組直参組織幹部)

 捜査関係者によると、金澤容疑者は事件に関して完全黙秘だが、存外、雑談には応じているらしい。完全否認とはいえ、これだけの状況証拠があると厳しい裁判だろう。同時に逮捕された4人が、金澤容疑者と同じように黙秘できるとも思えない。今はヒットマンを現場に運んだ運転手でさえ懲役20年になる。さらに逮捕者の詳細を見ていくと、警察の真意も透ける。

「警察の狙いは金澤の上にいる絆會の織田会長でしょう。織田会長狙いとしか思えない逮捕者がいる。織田会長の関与があったかどうかが焦点になる」(同前)

 そもそも絆會は六代目山口組から攻撃されておらず、突如、六代目の中核組織である弘道会系の組長を殺害したのも不可解だ。バックに黒幕がいる可能性もある。事件の背景がはっきりすれば、六代目山口組は苛烈な報復を実行するかもしれない。

取材・文/鈴木智彦(フリーライター)

※週刊ポスト2024年6月28日・7月5日号

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