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詐欺容疑の邦人逮捕が相次ぐカンボジア 特殊詐欺グループが拠点を置く事情

NEWSポストセブン / 2024年6月23日 16時15分

カンボジアから移送され、羽田空港に到着した特殊詐欺事件の容疑者らを乗せたバス。2023年4月11日(時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、近ごろ特殊詐欺グループの逮捕と強制送還が続いているカンボジアの遵法意識について。

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 ここ数年、カンボジアを拠点にする特殊詐欺グループに闇バイトで雇われたという特殊詐欺犯たちの逮捕が相次いでいる。

 2023年4月にはカンボジアの南部のリゾートホテルに監禁状態にあったという日本人19人が現地の警察に拘束、日本に移送され、詐欺容疑で警視庁が逮捕。2023年9月にはカンボジアの8階建てのアパートに監禁されていた日本人25人が、現地当局に拘束、日本に移送、詐欺容疑で埼玉県警に逮捕された。容疑者たちは闇バイトなどで集められて現地に渡り、かけ子と呼ばれる電話詐欺の役割を果たしていたという。

 なぜカンボジアなのか。ある情報番組では当時、犯罪ジャーナリストが「東南アジアのリゾート地だと観光客に紛れやすく、空いている時間にリゾートを楽しめるといえば勧誘しやすい」と説明。連続強盗事件の指示薬たちが何年も逃げていたことで注目されたフィリピンなど、東南アジアのリゾート地で暗躍する特殊詐欺グループが増えているらしい。フィリピンの裏事情に詳しい暴力団関係者は、「フィリピンでは金さえ払えば、警察官が警察の動きや地元の動きを知らせてくる。公務員に物を頼むのも金次第」と話し、現地に詳しいビジネスマンは「フィリピンで何かしようとするなら裏金が必要。金を渡せば思うように進む」と説明した。

「カンボジアでは、警察は制服を着たヤクザ、裁判官は法衣を着たたかり屋と思ったほうがいい」。そう話すのはカンボジアの弁護士事務所で、リーガルアドバイザーとして働く日本人S氏だ。彼はまずこう前置きする。「カンボジアは1970年代のポルポト政権下で当時の人口の4分の1が虐殺されたといいます。10年前の国民の平均年齢は23歳、みんな生きていくのに必死でした。今でも平均年齢は26.5歳。工場などの最低賃金は200ドルほどで12時間労働、週休1日です」という。

「カンボジアでは警察官も給料が安いので、ワイロを払わないと誰も動いてくれない。逆に金を払えば何でもやってくれる。大概の情報は入手できるし、ボディガードもやってくれる。便宜を図ってくれます。乱暴な言い方をすれば、逮捕するのも釈放するのも金次第。日本の特殊詐欺グループにとっては居心地がいいでしょうね」。フィリピンの警察事情とカンボジアのそれは、共通するところが多いようだ。

「年に数回、お寺にいって懺悔さえすれば罪は許される」

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