1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

【骨になるまで・日本の火葬秘史】志村けんさんはひとり、コロナ禍の厳戒態勢の中で骨になった

NEWSポストセブン / 2024年6月25日 11時15分

「来場者や職員の安全を守ることと、遺族の意向に配慮することをどう両立させていくかは、コロナ禍において解決すべき重い課題となりました」

弔いだけがコロナ禍のスタイルのままいまに至る

 志村に続き、TBSの朝の情報番組『はなまるマーケット』で司会を務めていた俳優の岡江久美子が亡くなった。2020年4月3日に発熱して6日に急変。すぐに大学病院に緊急入院してICUで人工呼吸器を装着したものの、治療が及ばず4月23日に旅立った。夫で俳優の大和田獏は、後に出演した『徹子の部屋』(テレビ朝日系)で、黒柳徹子にこう語っている。

「(面会を許されず)電話で訃報を知らされて駆けつけると、ひとりだけ面会を許されて(自分が)対面しました。もう袋みたいなところに入って、ここ(顔)だけビニールの透明なのがついてて顔は見れたんですけど、まぁそれだけだった。それで遺骨で帰ってくることになったんですけどね」

 気さくで明るい人柄で知られた岡江の急死は、コロナ感染の怖さをますます印象づけた。

 同時にその頃には「自粛が当然」というムードが醸成されていた。

 サッカーのJリーグやプロ野球の開幕が延期され、大相撲の春場所は無観客開催となった。東京五輪・パラリンピックの1年延期が決まった。ウーバーイーツなどの宅配業者が活況を呈する一方、レストラン、居酒屋などへの時短・禁酒要請が相次ぎ、コンサート、演劇、寄席なども自粛を迫られ、あらゆるイベントが中止に追い込まれた。

 大学ではオンライン授業が一般化、企業も社員に在宅勤務を奨励し、出張・会議を減らした上にオンラインで行うことが多くなった。

 コロナウイルスがもたらした「接触しないライフスタイル」は年単位で継続することとなる。

 ただしその後、多くの分野はコロナウイルス感染症が2類から5類に移行したタイミングで“日常”を取り戻した。スポーツ観戦に鳴り物が戻り、イベントは再開され、コンサートや演劇、パーテーションなしで外での食事や酒席を楽しめるようになった。マスク姿の人の数は減り、円安を利用した外国人観光客はコロナ前以上だ。

 しかし、「弔い」だけは例外どころか、自粛が明けてなお縮小傾向や簡素化に拍車がかかっている。

 バブル時代に一般的だった、会葬者の数を競うような会社を挙げての「社葬」は影を潜め、かつては少数派だった「密葬」が家族近親者と本当に親しい人だけが出席するこぢんまりとした温かい「家族葬」として生まれ変わり、主流の葬儀スタイルとなった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください