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藤井聡太“八冠再独占”への道 最大の難関は伊藤匠・新叡王への挑戦権獲得、トーナメントでの4連勝が必須

NEWSポストセブン / 2024年7月3日 7時15分

 昭和の最強者である大山康晴十五世名人は、タイトル数が三冠から四冠、五冠と増えていく中で、通算6度の全冠制覇を成し遂げている。いまよりもタイトル戦が少なく、時代背景も異なるので一概に比較はできませんが、タイトルを失ってから5回の復帰を成しえているわけです。囲碁界では井山裕太さん(現・三冠)が全冠から後退した後に復帰したという例があります」

トーナメントの一発勝負の難しさ

 伊藤叡王とのリターンマッチへの道のりは、どのような困難を伴うのか。松本氏が続ける。

「羽生九段のケースを振り返ってもわかりますが、防衛を続けるのも大変ですが、挑戦権を獲得するのも大変なんです。羽生九段は同世代だけでも、森内九段、佐藤康光九段、郷田真隆九段、藤井猛九段、丸山忠久九段といった、タイトルを何度も取るほどに強い棋士が多く存在していた。それだけ競争が激しかったんです。もちろん羽生九段が周囲のレベルを引き上げたという話ですが、そうしたなかで羽生九段でも挑戦権を獲得して全冠に戻ることはできなかった。

 藤井七冠も周囲のレベルを引き上げている。それは伊藤叡王の躍進を見てもわかりますし、他の棋士のレベルも上がっている。そうした意味では、叡王への挑戦権獲得が最大の難関かもしれません。今回はタイトル戦で初めて敗れるかたちになりましたが、番勝負は実力が反映されるので、5番より7番といった具合に、対局数が多いほど強い棋士が優利になる」

 しかし、トーナメントの一発勝負では、そうはいかないわけだ。

「史上空前の通算勝率8割3分台を誇る藤井七冠ですが、それでも6回に1回は負けていることになります。次の叡王戦で藤井七冠はシードでベスト16から始まりますが、それにしても4連勝しないと挑戦権が得られない。一局ずつの勝負で、そのたびに振り駒で先手番を決める。そこで若干不利が生じることもある。叡王戦の本戦トーナメントは例年、年明けから始まりますが、ここを勝ち抜くだけでも、そう簡単なことではありません。

 八冠を独占するまでの道のりでも、もっとも大変だったのは最後に残った王座戦の挑戦権を獲得するところでした。2回戦では中堅クラスの村田顕弘六段に秘策『新村田システム』をぶつけられました。藤井七冠は苦戦に陥り、ほとんど負けというところにまで追い込まれています。現役棋士であれば、一番勝負で藤井七冠に勝つ可能性は、誰にでもあります。トップクラスとなれば、さらにその可能性は高まります。挑戦者決定戦の豊島将之九段は2023年度の名局賞に選ばれるほどの名勝負で、それも最終盤まで、どちらが勝つのかわかりませんでした」(松本氏)

 その困難を乗り越えて、1年後に再びライバル対決が見られるのか。そうなれば、将棋界が最初の八冠独占時以上の盛り上がりになることは必至だ。

※週刊ポスト2024年7月12日号

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