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「国産牛肉」の懸念点として指摘される“えさ”のリスク、ほとんどが輸入飼料 外国産トウモロコシは遺伝子組み換え品種が一般的

NEWSポストセブン / 2024年7月8日 16時13分

 特にメスは発がん率が高く、14か月目で10〜30%に、24か月目ではなんと50〜80%のマウスにがんが発生したのです。オスでも肝臓や皮膚に腫瘍ができたり、消化管に異常をきたしたりする個体が多かったことが報告されました」(鈴木さん)

 少なくともマウス実験のレベルでは、遺伝子組み換えトウモロコシは高い発がん性を持つことが示されたのだ。消費者問題研究所代表の垣田達哉さんが言う。

「実際に人体への健康被害が確認された例はいまのところありませんが、遺伝子組み換え飼料で育った牛肉を人間が食べた場合の健康被害を示唆する論文は複数発表されています」

 現在、国内で流通している遺伝子組み換え飼料はすべてに有害物質がないことを農林水産省が確認して“お墨つき”を出している。だがその一方で、複数の生活協同組合などは「健康被害を起こす可能性が否定できない」として、記載の義務はないにもかかわらず、遺伝子組み換え飼料の不使用を明示した商品を販売している。

 遺伝子組み換え飼料の安全性について微生物の遺伝子組み換え研究の経験を持つ久保さんはこう分析する。

「遺伝子組み換えは、自然界では絶対に起こり得ないこと。研究者の意図とは反対に有害物質やデメリットが現れることも少なくありません。数か月の実験で問題がなくとも、20年間食べ続けた人が健康でいられるかどうか、誰も保証できないのです」

 人体への害が直ちに確認できなかったとしても、複数の研究によってその可能性が示唆されている以上、農作物の遺伝子組み換えには慎重になるべきだ。

 それでも依然として遺伝子組み換えトウモロコシが大量に輸入されてくる背景には、日本をお得意さまとするアメリカの経営戦略があるという。

「トウモロコシや大豆の遺伝子を組み換えるのは、除草剤への耐性をつけて生産効率を上げるためです。

 その除草剤の有効成分には、発がん性や神経毒性、生殖への影響が世代を超えて受け継がれる危険性が国際的に疑われている。にもかかわらず、2017年には日本での当該成分のトウモロコシへの残留基準値は一気に5倍にも緩和されました」(鈴木さん)

 人が食べては危ないものでも、家畜のえさであれば大丈夫──そんな考えのもとに、日本人が信頼を寄せる“国産牛”は、海外で除草剤をまかれた畑で育った遺伝子組み換えトウモロコシをたっぷり食べて育っているものが紛れているのだ。

(後編を読む)

※女性セブン2024年7月11・18日号

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