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《洗脳実態レポート》祈祷師を訪ね新興宗教に何千万円も寄付したのち元暴力団員の占い師の男を信じた資産家夫婦の末路

NEWSポストセブン / 2024年7月7日 16時15分

黒魔術で呪いをかけられたというモルディブのムイズ大統領(左、AFP=時事)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、元暴力団員の占い師を盲信した資産家一家の末路について。

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“黒魔術で政府高官を逮捕”という信じがたいニュースが6月30日に報じられた。場所は南アジアの島国モルディブ。逮捕されたのは環境副大臣のファティマス・シャムナズ・アリ・サリーム他2人。呪いをかけられたというのはモルディブのムイズ大統領だ。モルディブでは黒魔術で他人を呪うことができると信じられており、イスラム法では禁固6か月の刑が科されるという。相手に呪いをかけた容疑で逮捕される、日本においてはにわかに信じがたい話だが、呪術や占いでトラブルになるケースは日本でも後を絶たない。

 10年ほど前、ある資産家夫婦が相次いて隅田川に身を投げて亡くなった。事件性はないと警察は判断したが、彼らを追い込んだのは占い師の男だった。夫婦はいくつもの会社や店を経営し、息子と娘も経営に携わっていた。資産もあり会社の経営も順調、後継者もいる。その夫婦がなぜその占い師を頼ってしまったのか。

 夫婦が占いや宗教に頼ったのは、これが初めてではなかった。生まれた長女に発達障害がみられたことで、健康に成長してほしいと夫婦はあちこちの神社仏閣に祈願にいったという。そのうちあっちの祈祷師が利く、こっちの占い師がいいと周囲から紹介されるようになる。神頼みと思いつつそれでよくなるならとお金を使った。

 一時は新興宗教にはまったこともあった。子供も連れて教義を聞き、礼拝を行い、印鑑や数珠、壺などを購入し何千万円も寄付した。寄付すればそれだけ自分たちの罪は贖罪され、子供たちに平穏が訪れると信じたが、長女は学校でいじめにあってしまう。デフレが続く日本経済のあおりをうけ、会社の業績も低迷。宗教に頼ったのは間違いだったと脱退する。

 その後、仕事先の紹介で出会ったのが50代の占い師の男だった。男はさも自分の占いが当たるかのように演出した。家族の過去について言い当てられた夫婦は、この男を信じてしまう。だが探偵に素性を調査してもらった親族によると、男はマルチ商法や投資詐欺で有罪となり服役したことのある元暴力団組員。夫婦については事前に調べていたようだという。彼らは最初から狙われていたのだ。

「社長が洗脳されているのではないか」

 悩み事はいつでも電話ができ、些細なことでもアドバイスする。男は夫婦を依存させていく。詐欺を行っていただけに口はうまく人当たりもいい。経営的な内容にも長けていたため、夫婦は会社の経営についてもアドバイスを求めた。優しく諭すよう説明する時もあれば、厳しい言葉を浴びせ怒鳴ることもある。娘と息子も仕事で父や母に聞けないことは、男にアドバイスを求めていった。家族は次第に自分の頭で考えることをやめていく。一緒に生活していた次男はこの状況を危ぶんだが、夫婦は聞き入れなかった。次男は諦めて家を出た。夫婦は会社にも取引先にも男を連れていくようになり、男の生活費のすべてを夫婦は率先して支払った。男がそうするよう仕向けていたのだ。

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