二軍調整中の巨人・坂本勇人に“一塁コンバート案”浮上も想定される副作用 阿部監督に“重い決断”を求める意見も
NEWSポストセブン / 2024年7月10日 10時59分
2022年まで8年連続で伝統の巨人軍のキャプテンを務めた坂本勇人(35)が不振に喘いでいる。ケガや体調不良以外の理由で二軍に落ちるのは、2007年のルーキーイヤー以来のこと。専門家からは、「坂本はファーストに転向すれば、まだ成績が伸びると思いますよ」(元阪神・藤田平氏)、「守備の負担の少ないポジションを任せるのは一つのプラン」(野球評論家・江本孟紀氏)と、「ファーストで復帰」論も上がるが、これは文字通り“もろ刃の剣”だ。【前後編の後編。前編を読む】
坂本をファーストに回すことで、彼の“延命”を考えることが、本当にチームにとってベストなのか、疑問視する声もある。
「メジャー入りを切望する岡本和真(28)は本来のポジションであるサードで坂本に代わって実力をアピールしたいはず。坂本がスタメン落ちした後、ファーストは大城卓三(31)が務めていますが、打撃が安定すれば定着する可能性は十分ある。
それに坂本と同年代の丸佳浩(35)も外野守備が厳しくなればファーストが選択肢になります。外国人選手が任されるパターンもあり得る。“坂本ありき”で考えてファーストに持ってくるとなると、チームは多くの選択肢を失う可能性があります」(巨人番記者)
坂本も35歳になりキャリア終盤に差し掛かったとはいえ、レジェンド的存在を冷遇する難しさはあるのだろう。ただ、今こそ「決断すべき時期」という指摘も聞こえてくる。
「V9以後(1974年~)の巨人を守った河埜和正は、就任2年目の王監督のもとでサードへのコンバートやそれまでケガ以外で一度もなかった二軍落ちを経験、代わりにショートのポジションに就いたのが3年目の川相昌弘でした。そして河埜は翌年に35歳で引退した。
同一チームで長く活躍した功労者が世代交代するには、監督交代が一つのタイミング。今年就任した阿部監督が坂本に引導を渡せないと、ズルズルとタイミングが延びてしまう懸念がある」(スポーツジャーナリスト)
最後に問われるのは監督の決断力
ドラゴンズ一筋でファンから愛された立浪和義は、落合監督の就任後サードに回されたがエラーが目立ち、落合政権2年目の2005年のオフにレギュラー剥奪を言い渡された。その後、4年間は代打専門となって出場機会が激減し、2009年に現役を退いた。
「落合ドラゴンズは、立浪レギュラー剥奪後の2006年にリーグ優勝、その次の年には日本一になりました。長年貢献してきたチームの顔をあえて切り、新陳代謝を進めることも勝利のために必要なこと」(スポーツ紙デスク)
最後に問われるのは、監督の決断力のようだ。中日のコーチ経験のあるプロ野球OBが語る。
「落合監督と立浪は現役時代も一緒にプレーしており、決して関係は悪くありません。ただ勝負師である落合監督は勝利を優先するには立浪をチームの中心には置けないと判断して若手を起用し、立浪もそのことを理解した。
阿部監督も現役時代から切磋琢磨してきた坂本を切りたくはないでしょうが、勝負のためには非情になることも必要です。巨人は2年連続Bクラスというどん底にあるわけで、“戦友”である坂本を二軍に落とした阿部監督の次なる判断が注目されます」
ともに戦った仲間でもある坂本をどう扱うのか。新監督は重い決断を迫られている。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2024年7月19・26日号
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