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90歳で初の単独主演を実現した草笛光子、共演者たちの証言で振り返るその実像 石坂浩二が明かす“市川崑監督との丁々発止のやりとり”

NEWSポストセブン / 2024年7月11日 7時13分

 監督が“なるほど”と頷く時もありましたが、頑として聞き入れてもらえず、草笛さんが“そんなこと言ったって!”と声を荒らげる時もありました(笑)。それだけ真剣に役作りに打ち込んでいるからこそ、監督も草笛さんを買っていたのでしょうね。草笛さんも監督のことを尊敬していらっしゃいました。『あの人はすごい監督で、全部出来上がった作品が頭の中にあるのよ』なんておっしゃっていましたね。草笛さんはそんな監督に向かって戦おうとなさっていたのだと思います。まさに唯一無二の存在でした」

市川崑監督からの信頼

 毎回違う役を見事に演じ分ける草笛の姿にも驚かされたという石坂。なかでも印象深いのは『獄門島』(1977年)の旅芸者・お小夜役だという。

「まさに鬼気迫る演技でしたね。私は『お前は原作通りにできていない! 時間があればずっと現場にいろ!』と監督に怒られて、自分の出番がない時でもほとんど撮影現場にいたので、草笛さんと絡んでいない場面も拝見していました。草笛さんはお小夜の若い頃と今の場面をきちんと演じ分けていた。さすがだなと思いながらお芝居を拝見していました」(石坂)

 演技では緊張感を持ちながら、共演者たちには自然体の姿もさらけ出すのが草笛の魅力だ。同じく市川崑監督の映画『火の鳥』(1978年)で共演したカルーセル麻紀(81)は、休憩中の草笛とのやりとりが印象に残ったという。

「草笛さんと高峰三枝子さんが“麻紀ちゃん、あなたは女優なんだからこっち来なさい”と私を呼んでくださって、休憩時間に一緒にお弁当を食べたんです。緊張の面持ちで伺ったら、草笛さんのほうから和やかな感じで話しかけてくださって」

 以来、共演の機会はないが、草笛に対する敬愛の念は変わらない。

「グレイヘアもお似合いで素敵ですね。草笛さんがグレイヘアでいるようになってから、私も真似て、髪染めをやめました(笑)」(カルーセル)

 金田一耕助シリーズ『悪魔の手毬唄』(1977年)や『病院坂の首縊りの家』(1979年)に出演した岡本信人(76)も敬愛を隠さない。

「市川作品に欠かせない存在でした。僕にとって草笛さんは“銀幕のスター”なんです。巨匠のシリアスな作品から森繁久彌さんの『社長シリーズ』の喜劇まで、綺麗な役も汚れ役も、さらりと演じきっておられた。市川監督も信頼されていたんだと思います」

(後編につづく)

※週刊ポスト2024年7月19・26日号

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