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【高校野球審判員の左胸にある「F」マークの意味とは?】全員が仕事を持つボランティア 炎天下のグラウンドに立ちっぱなしの「球審はつらいよ」

NEWSポストセブン / 2024年7月24日 11時15分

 高校野球は練習試合が3月に始まり、主要大会は11月まで続く。週末に時間ができるのは12月から2月だけだったという。

 夏の地方大会が始まると土日だけでなく平日にも試合が組まれるので、普段は会社員をしている審判員は参加が難しい。仕事を調整しやすい自営業者や、夏休みで授業がない高校の教職員などが集中的に担当することになる。内海は信金を退職してバーを営むようになってから、平日も都合をつけて審判員を務めている。

「最高で年間120試合ぐらい務めたこともありますが、今は控えの審判員(5人目の審判)を含めて80試合くらいで、球審・塁審としてグラウンドに立つのは60試合ぐらい。控え審判にも役割があります。試合中に審判員の動きなどをメモして、試合後に行なわれる反省会での参考資料にします」

 リーグ戦が主体の大学野球は開幕前にほぼ全試合の日程が組まれるので、事前にどの球場で、どの試合の球審や塁審をやるかも知らされる。だが、高校野球はトーナメント制のため試合の3日前に審判員が決定する。すぐに仕事を休めない審判員もいるため、内海のような“自営業者審判員”が突然駆り出されるケースもあるという。

「夏の県大会は、想像以上に過酷です。選手たちは攻撃時にベンチで休めますし、近年はベンチでの熱中症対策も進んでいますが、審判は炎天下のグラウンドに立ちっぱなしです。イニング間に水分補給しますが、基本的にトイレ休憩は5回ウラのグラウンド整備時間中の一度だけ。

 そのため塁審を1日2試合やることがあっても、球審は1日1試合が限界。炎天下で球審をやると神経をすり減らし、体力を使い果たしてクタクタです。バーのお客さんに“一番近くで試合を見られていいよねぇ”なんて軽口を叩かれますが、“あんたも審判員をやってみたら大変さがわかるよ”と言ってやると黙りますね(苦笑)」

(第4回に続く)

※『審判はつらいよ』(小学館新書)より一部抜粋・再構成

【プロフィール】
鵜飼克郎(うかい・よしろう)/1957年、兵庫県生まれ。『週刊ポスト』記者として、スポーツ、社会問題を中心に幅広く取材活動を重ね、特に野球界、角界の深奥に斬り込んだ数々のスクープで話題を集めた。主な著書に金田正一、長嶋茂雄、王貞治ら名選手 人のインタビュー集『巨人V9 50年目の真実』(小学館)、『貴の乱』、『貴乃花「角界追放劇」の全真相』(いずれも宝島社、共著)などがある。高校野球の審判員のほか、柔道、飛び込みといった五輪種目を含む8競技のベテラン審判員の証言を集めた新刊『審判はつらいよ』(小学館新書)が好評発売中。

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