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【独白70分】盟友・山崎努が明かした映画監督・伊丹十三との“濃い関係”「今でも、夢に出てくるよ」

NEWSポストセブン / 2024年7月22日 16時15分

「初めてだから不安だったでしょうね。どうやって大勢の俳優やスタッフを引っ張っていくか。初監督の人がわがまま言ったら『なんだ、この監督は。勝手なこと言いやがって』と思われますからね。僕は外野だからできるだけ力になろうと思ってたけど、なんの心配もなかった。実にスムーズにうまくいきました。清潔だった。彼の魅力ですよ。大したもんですよ。自分で脚本も書いて、監督して。だから僕の役も彼がやればよかったんだ(笑)」

 山崎には『お葬式』の撮影現場でもっとも印象に残っている伊丹の姿があるという。

「大変な集中力だったし、すごいパワーと好奇心があった。自分を律する極端なところもあってね。撮影中にどんどん痩せていってさ。『ダメだよ。いっぱい食べなきゃバテちゃうよ』と言ったら食事制限してるって。『こんな楽しいことをしていると自分に何か課さないとバチが当たる』とか言ってさ。心配して牛肉を買っていったけどね、あれは女房が食ったのかな(笑)。そういうのが好きな人なんだよ。面白がっちゃうんだよね」

「伊丹さんは夢の中に現れる」

 山崎は3作目『マルサの女』まで出演したが、以降は『静かな生活』(1995年)を除けば出ていない。伊丹流の細部にこだわる演出と、山崎が求める自由な役作りが噛み合わなくなっていたのが理由だった。

「監督と俳優は腹の探り合いをするもんですから。最初は何から何までピタッと呼吸が合って、気持ちよく仕事ができた。でも、だんだん演技することが息苦しくなっちゃってね。自然と離れていった。久々の『静かな生活』では勝手にやってやるぞと思ったら、自分で9回くらいNGを出しちゃってね。僕がひとりで電話を受けるわりと長いシーンがあるでしょ。やっと最後までやり終えたら、伊丹さんが『山さんがOKならOKです』って。皮肉な再会だよ。あとで細かいところを指摘されて、さんざん仕返しされた(笑)。そういう仲だったから、互いにどこかで楽しんではいたんだ」

 喧嘩別れではない、ふたりにしか知り得ないわだかまりがあった。伊丹が亡くなってから27年、山崎は今でも伊丹のことをよく思い出すという。

「今でも濃い関係ですよ。夢にもよく出てくるしね。夢の中で、ずっと喧嘩してたんだから(笑)。でも何年か前に初めて彼の記念館を訪れてね。僕は仲直りするつもりで行ったんです。なんとなく気になっていたんだ。そしたらプロデューサーの玉置(泰)さんが飛んできてくれてね。そこで一緒にビールを飲んだりして。それからは夢に出てきても。仲良くやっていますよ」

※文中敬称略

取材・文/奥富敏晴(映画ナタリー)

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