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体操・宮田選手の五輪辞退に「当然だ!」の声があふれる気持ち悪さ

NEWSポストセブン / 2024年7月25日 16時15分

 どこにどう気持ち悪さを感じてしまうのか、目を閉じて考えてみました。ひとつは、多くの人が競い合って「正しい意見」を主張しているところでしょうか。「お酒とタバコは二十歳になってから」というのは、いちおう常識だし、法律でも定められています。そこを論拠に責め立ている分には、自分の正当性を疑う必要はありません。

 ネット上では、処分の重さの「妥当性」を疑問視しただけでも、「法律に違反したヤツの肩を持つのか!」「それを許したら世の中の秩序が崩れる!」という批判の矢が飛んできそうです。結果として、ますます「正しい意見」ばかりがあふれることになり、その範囲内で「場所が」とか「立場が」などとちょっと工夫を凝らして書いていれば、多数派に属している安心感を覚えつつ、自分なりのオリジナリティを発揮した気にもなれます。

 そもそも、なぜこれだけ多くの人たちが、わざわざ手間や時間をかけて「19歳で飲酒と喫煙をするなんてケシカラン!」と叫びまくる必要があるのか。「よくないなあ」と感じたとしても、具体的に迷惑を被ったわけでもなく、言ってみれば自分には関係ない話です。

 きっと、叫ぶことで“ご褒美”があるに違いありません。一生懸命に想像してみました。もしかしたら、世間的に「今、何を言ってもいい」とされている標的に石を投げることで、「いいことをしている快感」や「正義の味方になった気分」を感じられるからでしょうか。何だったら「世直しに貢献している自分」にウットリすることも可能です。

匿名なのになぜ進んで長いものに巻かれに行きたがるのか

 気持ち悪さと同時に怖さも感じたのは、そんな「正しい意見合戦」が、ほぼ100%匿名の人たちによって行われているところ。実名で意見を表明している人たちは、多くが「やりすぎだ」と言っていました。ちなみに、このコラムもいつも最初に私の名前を記しているのに、それを読み取れないのか、勢いよく「書き手の名前を出せ!」と言ってくる方がたまにいます。繰り返しになって恐縮ですが、コラムニストの石原壮一郎が書いています。

 話がそれました。匿名で意見を表明する数少ないメリットは、自分の立場や周囲の目を気にしなくてもいいところ。「19歳なんだから酒やタバコぐらいいいじゃないか。みんなやってたよね」と言っても、明日から職場で後ろ指を指されたりはしません(よっぽどひどいことを言えば、匿名ではいられなくなる可能性はありますけど)。

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