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《横綱・照ノ富士、白鵬以来のV10なるか》【故・第37代木村庄之助が語った大相撲「行司」の世界】「最高位での“行司黒星”ゼロが誇り」ビデオ判定の弊害も指摘「もう少し人間の目を信じてもいい」

NEWSポストセブン / 2024年7月28日 11時15分

 だが、これは「行司黒星」には当てはまらないのだという。

「行司は“どちらが先に土俵に倒れたか”“どちらの足が先に土俵から出たか”を見ますが、“勝負中に髷を摑んだかどうか”の判定はしません。基本的には勝負審判が指摘して、ビデオ判定で反則負けかどうかを判断する。反則負けは行司の差し違えではありません」

 この取組でも判定の決め手となったビデオ判定だが、実は日本のメジャースポーツで最初に映像判定を取り入れたのは大相撲である。

 きっかけは1969年3月場所2日目、大鵬対戸田の取組だった。立行司・式守伊之助(第22代)は大鵬に軍配を上げたが、物言いで判定が覆り、大鵬の連勝記録は45でストップしてしまった。ところが翌日の新聞に掲載された写真で戸田の足が先に出ていたことがわかると、相撲協会には抗議の電話が殺到した。この“誤審”を受けて、翌5月場所からビデオ判定が導入されたのだ。

“送り足”がビデオ判定で“勇み足”と判断されるケースも

 畠山は「木村三治郎」を名乗っていた時期で、この歴史的な一番を土俵下の控えで見ていた。それから40年以上も映像に“監視”されてきた畠山は、ビデオ判定をどう考えていたのだろう。

「導入してから、物言いの協議はビデオ頼りになった。コマ送りできるので、どちらの体が先に落ちたかは判別しやすい。その結果、“同体取り直し”は減ったように思います。

 とはいえ、相撲の勝敗には“死に体”や“生き体”、“かばい手”や“かばい足”という判断もあるから、単にどちらが先に落ちた(出た)だけでは決められない。相手をつり出した力士の足が先に土俵から出るのは本来、“送り足”で負けにならないのに、ビデオ判定に頼るあまり“勇み足”と判断されるケースがあったりする。利点は多いけれど、もう少し人間の目を信じてもいいかもしれないね」

行司に「威厳」「権限」は必要か

 中学卒業から半世紀にわたる行司人生を過ごした畠山は、引退してから他のスポーツ中継を観る機会が増えたのかもしれない。取材中、プロ野球の話題が出たことがある。

 2022年のプロ野球で、「審判」に注目が集まった試合があった。日本人最速165㎞を誇る令和の怪物・佐々木朗希と、白井一行球審の“一触即発騒動”だ。

 4月24日のオリックス対ロッテ(京セラドーム大阪)。佐々木は前々回の登板(4月10日)で完全試合を達成、前回登板(同17日)も8回まで完全試合のまま降板という圧巻の投球を見せたばかりだった。

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