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【競馬の猛暑対策】馬とジョッキー、体温を下げつつ暑さへのなれも必要 カギは「温度差」の克服

NEWSポストセブン / 2024年8月17日 7時15分

馬とジョッキーの暑さ対策について蛯名正義氏が解説

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、馬とジョッキーの暑さ対策についてお届けする。

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 夏場の調教は気温が上がる前に終わるよう、いつもより早くから乗り始めます。レースの後と同じように、調教の後もとにかく体温を下げることに気を使います。夏用の薄い馬服を冷たい水に入れておきそれを馬に掛けたり、馬体に水を掛けたり、各厩舎でいろいろな工夫をして、できるだけ早く平常体温に戻すことを心掛けています。

 前号で水分の摂り方について少しお話をしましたが、いつでも水を飲めるようにし、体の内側から整えていくようにします。上がった体温を早く下げて平熱に戻し、しっかり飼い葉を食べさせるような状態にしていきたいものです。

 また馬にとって快適な状態で休息することも大切だと思っています。競馬場の馬房にはエアコンや扇風機が稼働していることがほとんどです。しかしトレセンの厩舎ではエアコンを設置していないところがほとんどだと思います。

 施設の設備の問題もありますが、暑熱順化という観点から悩ましいところでもあります。よりよい環境で良い休息をとることはもちろんそれは必要なのですが、一方で屋外の炎天下で競馬をするわけで、暑さにもなれなきゃいけないというところもある。やっぱりある程度、レースをする時の温度にも慣れておかないといけない。

 最近ではパドックでミストを流したりしていますね。ミストの効果はその周辺の気温を少し低くするものです。レース前の馬場内の待避所にもミストがありますが、あの手この手の「炎暑対策」も、これ以上何ができるのだろうというところまできている印象です。

 これだけ暑いとジョッキーも熱中症の心配があります。騎乗時の体重が決まっているので、暑さ対策だからといって水分ばかり取るわけにはいきません。逆のケースもあって、例えば朝のレースは53キロで乗ったけれど、そこで汗もかいて減ってしまうことがある。じゃあ食べるかといっても、なかなか喉を通らないこともある。そういう時は小さいおにぎりとかバナナとか、本当に早く吸収できそうなものを食べます。マラソンの人たちと一緒ですよね。

 今年は7月末と8月最初の4日間、新潟では正午から3時ごろまで「中休み」がありましたよね。メインレースの後に5つもレースがあることで、メンタルを整えるのが大変だと思っていましたが、フィジカルにも気を使っていたようです。中休みの間、一度筋肉が冷えてしまうわけで、それをまた元に戻すのが難しかったのではないでしょうか。

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