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【永田町取材歴40年】「週刊文春」元名物編集長が明かす、人付き合いの極意

NEWSポストセブン / 2024年8月15日 11時15分

議論が白熱し、『別に先生のためにやっているんじゃない、お国のためにやっているんですよ』と放言したこともありましたが、梶山さんは『ほおッ』と受け止めてくれた。時には、番記者たちとの会食に呼ばれ、『となりに座れ』と言って、彼らに仲間として紹介してくれたこともありましたね」

 編集者生活で名刺交換した人は1万5000人を超えるという鈴木氏、国の舵取りを担う大物政治家たちにも食い込む、人付き合いに極意はあるのだろうか。

「『週刊文春』や『月刊文藝春秋』といった雑誌の編集者は、扱うテーマが多岐にわたるので担当という概念が薄い。担当者間のしがらみもそこまでない分、これはと思った人に自由に接触できる。そこで深く人間関係を築くことができれば、電話一本でやり取りできるようになるわけです。

事件取材を長く担当したある敏腕司法記者は、『検事が地方に赴任したときに会いに行くんだ』と話していました。要するに、その人が恵まれないポストにいるときにこそ通うんです。安倍さんもそうでしたよね。失意のうちに首相を辞任して、第2次政権を樹立するまで、その5年間に通った記者だけが、彼にとって信頼できる番記者だったんです。

すなわち、不遇の時代に訪ねていくのが大切なんです。それは政治家だけでなく、経済界などビジネスの場面でも同じです。その人の人生が上手く行かない時に親しくなると、大事な局面で『じゃあ、君に教えてやるよ』となるわけです。栄耀栄華を極めている時に行っても、みんなが群がっているから相手にしてくれる時間もないですしね」

 自身を霞ヶ関、経済オタクと評する鈴木氏はいまも、「これは!」と思う政治家への政策提言を続けているという。さらに、次回作への意欲も尋ねると、次にテーマとしたいのは、官僚だと明かす。

「松本清張さんがお書きになった『現代官僚論』という本が私のバイブルでした。清張さんが昭和30年代に書いた古い本なんですけど、それを私は高校生の頃から愛読していたんです。その頃から国家の仕組みや官僚オタクだったんですよね(笑い)。

これまでも清張さんの真似をして官僚を論じた書籍は数多くありましたが、官僚凋落の時代と言われるいまこそ、現代官僚論を書いたら面白いかなと思っているんです。役人になっても安月給かつその権力も弱くなったと言われて、なり手はどんどんいなくなっている。

以前は、この国を動かしていると特別な目で見られていましたし、ある政治家の事務所に行ったら『これから日本の宝が来ます』と言われ、大蔵官僚(当時)を紹介された時代もありました。学生時代、何かこの国の役に立ちたいと考えて役人を志した人たちが、この国のあり方について毎日寝ずに考えていることを全部だめだと簡単に否定するのではなく、一度彼らの考えをきちんと聞いてみるのも意味があるんじゃないかなと思うんですよ」

政治の世界でキーマンたちに伴走し、肉薄してきたジャーナリストの取材意欲は増すばかりだ。

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